研究課題/領域番号 |
21K07702
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平川 雅和 九州大学, 大学病院, 准教授 (20380454)
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研究分担者 |
本村 有史 九州大学, 大学病院, 助教 (00826365)
坂本 勝美 九州大学, 大学病院, 助教 (50625803)
高尾 誠一朗 九州大学, 大学病院, 医員 (70803443)
平木 嘉樹 九州大学, 大学病院, 医員 (90882895)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 水晶体被ばく防護 / 水晶体被爆 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線を使用した画像下治療は手技複雑化等により術者被ばく増加による白内障が懸念される。一方、眼の水晶体等価線量限度に関する医療法施行規則一部改正が2021年4月より施行予定で水晶体等価線量限度低減「5年間の平均で20mSv/年かつ50mSv/年を超えない」と水晶体等価線量評価法の推奨変更「眼の近傍や全面マスクの内側に放射線測定器を装着」とされている。2023年3月までの経過措置はあるものの正確な水晶体等価線量評価と更なる水晶体被ばく防護が必要と考えられる。本研究は、レベルの高い放射線診療を提供しながらも放射線障害防止と法令遵守とを両立した新たな放射線診療体制の整備に貢献可能と考えられる。
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研究実績の概要 |
本年度は、新たな防護眼鏡(0.07mmPb)を使用した検討を行った。新たな防護眼鏡は角度調整機能ありで、術者の顔面によりフィットすることで、防護効果が高いと報告されている。新たな防護眼鏡を使用し、IVR(画像下治療)術者の水晶体線量および防護眼鏡の遮蔽率を昨年のデータとの比較検討を行った。なお、水晶体線量は、防護眼鏡外の頚部に装着したガラスバッジと水晶体専用線量計DOSIRISを防護眼鏡下左目近傍に装着し測定した。 結果:新たな防護眼鏡(0.07mmPb、角度調整機能あり)を使用したIVR術者の水晶体線量(mSv,ガラスバッジ/DOSIRIS)は、6.9/4.2, 8.1/4.8, 3.7/1.9であった。水晶体線量20mSv/年を超える術者は存在しなかった。新たな防護眼鏡の遮蔽率は、39.1%,40.7%,48.6%で、平均42.8%であった。前年度の3名のIVR術者の防護眼鏡(0.07mmPb、角度調整機能なし)の遮蔽率は平均42.7%のであった。 考察:今回の対象術者で、角度調整機能ありの新しい防護眼鏡の平均遮蔽率は、前年の角度調整機能なしの防護眼鏡と同等であった。文献的には、角度調整機能付き防護眼鏡の遮蔽率は、調整機能なしの防護眼鏡よりわずかに向上するとの報告があり、本検討の結果と同様と考えられた。各術者の遮蔽率では、前年と同一の術者の遮蔽率は、前年は42.7%であったが、角度機能調整機能を有する防護眼鏡を使用することで48.6%と若干向上した術者も存在した。角度調整をした場合にも各術者の顔面の形態によっては、眼鏡と顔面の十分なフィットが得られず、隙間より進入した散乱線による水晶体被ばくを生じている可能性が考えられた。角度機能調整機能付き防護眼鏡よりも安定的な防護機能を有する防護具により、術者およびIVRの種類に依存しない水晶体線量削減が可能となる推察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定している臨床データ収集及び解析はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
改正された水晶体線量限度を遵守し、臨床業務を継続的に遂行するためには、防護眼鏡下で水晶体専用線量計での測定が必要であることは、再確認された。しかしながら、角度調整機能を有する防護眼鏡の使用でも、防護眼鏡の遮蔽率が、各術者でばらつきがあり、更に安定した水晶体線量の削減には、更なる放射線防護機能が必要である。そのため、次年度は、術者の顔面形態にかかわらず安定的な防護機能を有する顔面全面をカバーする防護具を新たに作成し、検討する予定である。
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