研究課題
基盤研究(C)
カルボニル化合物のα炭素へのフッ素化や[18F]標識化は、ポジトロン断層撮影(PET) における創薬開発に直結した魅力的な反応であるが、実用的な方法は未だない。本研究では、遷移金属、光応答型触媒による一電子移動型反応より、カルボカチオン中間体を形成させた、カルボニル化合物への求核的αフッ素化法を計画した。合成困難であった複雑な官能基を有する[18F]標識化ペプチドや抗体への利用が可能である。
カルボニル化合物のα炭素へのフッ素化や[18F]標識化は、ポジトロン断層撮影(PET) における創薬開発に直結した魅力的な反応であるが、実用的な方法は未だない。本研究期間では、銀塩を用いると温和な条件かつ簡便な操作で、1-3級α-ブロモアミドの求核的フッ素化反応およびトリフルオロメチルチオ化反応が進行することを見出した。光学活性な基質を用いると、絶対配置が維持された光学活性なフッ素化生成物が得られることから、カチオン性アジリジノン中間体を経由した"double inversion"で反応が進行していることが示唆された。DFT計算による理論計算の結果と実験データは、本反応機構を支持した。
フッ化水素やアルカリ金属フッ化物をフッ素源とした求核的フッ素化反応(SN2プロセス)が、[18F]標識化法の主流となっていることから、嵩高い基質には適さず、基質適用範囲が狭い。ゆえに、本研究成果である嵩高い第2、3級アルキル基を有するカルボン酸、エステル・アミドといったα位への求核的フッ素化は、有機合成化学における課題を克服するに至った。本研究成果は、これまで合成が困難であったPET診断に利用できる[18F]標識カルボニル化合物を構築するための新たな手法となることから、学術的意義、社会的意義があるといえる。
すべて 2024 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
ChemMedChem
巻: 18 号: 18
10.1002/cmdc.202300157
Fundamental & Clinical Pharmacology
巻: - 号: 3 ページ: 1-55
10.1111/fcp.12974
European Journal of Organic Chemistry
巻: 27 号: 3
10.1002/ejoc.202301100
Antiviral Research
巻: 199 ページ: 105267-105267
10.1016/j.antiviral.2022.105267
Journal of Medicinal Chemistry
巻: 65 号: 1 ページ: 369-385
10.1021/acs.jmedchem.1c01527
The Journal of Organic Chemistry
巻: 86 号: 24 ページ: 18017-18029
10.1021/acs.joc.1c02316
Malaria Journal
巻: 20 号: 1 ページ: 264-264
10.1186/s12936-021-03775-2
120007168852
Chemistry - A European Journal
巻: 27 号: 19 ページ: 5930-5935
10.1002/chem.202004769