研究課題/領域番号 |
21K07715
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
石川 仁 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院, 副病院長 (70344918)
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研究分担者 |
丸尾 和司 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10777999)
中村 和正 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20284507)
吉岡 靖生 公益財団法人がん研究会, 有明病院 放射線治療部, 部長 (30379242)
奥村 敏之 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50241815)
石山 博條 北里大学, 医学部, 教授 (60343076)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 線量分割法 / 寡分割照射 / 線量体積ヒストグラム / IMRT / 小線源治療 / 放射線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
前立腺癌に対する放射線治療成績を十分に検討できるデータ構築と統計学的手法を用いた様々な解析により,従来の70 Gy/35 fr以下の線量で得られた知見を前提とした放射線治療を高精度治療時代に合致するがん治療に革新することを目的として,エビデンスに基づく臨床試験の実施に繋げることを目的とする.同時に,リスク臓器のDVH解析に基づいた個別化されたリスク臓器の耐容線量,分割回数の変化による線質別の生物学的効果比を算出する.最終的には,日本人に対する照射技術別の標準治療を確立し,全国に普及させる.さらに,利便性や経済的な面で有望な寡分割/超寡分割照射法の有効性を検証する新規臨床試験を企画し実施する.
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研究実績の概要 |
陽子線治療では、寡分割照射(70Gy/28Fr)のII相試験の経過観察が観察期間を経過したため、データクリーニングを行い統計解析中である。通常分割照射と寡分割照射のQOL比較に関して検討した論文は2022 Best Original Article Publication を受賞した。現在、もう一つの寡分割照射(63Gy/21回)のII相臨床試験を継続中である。 重粒子線治療では、昨年度に既存のノモグラムで高リスク群の治療成績を層別化できることを示したが、LASSOモデルにより、年齢、PSA値、臨床病期、Gleason score、ホルモン療法、陽性コア数から日本人に特有の新たなノモグラムを作成した。重粒子線の臨床的RBEを算出するために4つの線量分割で治療した262例の低リスク症例の非再発率と既知のX線治療成績からLQモデルを用いた統計解析を行い、12回照射は、20回照射よりも効果が3%程度減じることが示唆された。この結果と線量増加試験の結果から、超寡分割照射での推奨線量を40GyRBE/4Frと決定し、新しい臨床試験を企画立案し倫理審査に申請した。また、高齢者に根治照射を行う意義を検討し、75歳以上の患者では平均期待余命を上回ることから少なくとも予後を悪化させていないことを示した。 X線では、通常分割によるIMRTでの8年生化学的非再発生存率は中リスク86%、高リスク76%であった。一方、定位照射に関しては、高線量率小線源治療よりも直腸の照射線量は高かったが尿道は低い線量分布であり、Spacerの使用により直腸障害を避けることができれば安全な照射が可能と考えられた。その照射技術ではCyberknifeとVMATで有害事象に差がないことを示された。以上の背景から、最適な定位照射法の確立を目的に2つの線量増加法を比較するランダム化試験(SPIDER-II試験)を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に投稿した6編(陽子線:1、重粒子線:2、SBRT:3)はいずれも論文公表済みである。また、本年度11編の論文(国際誌8編)を公表できた。超寡分割照射の臨床試験に関しては、X線治療で開始し、重粒子線治療も倫理審査で承認となり来年度から症例登録を予定している。 一方で、COVID-19感染者に対する受け入れ等で、がん治療以外の診療を要したことが影響し、既存のデータ解析は進んだものの、公開データベースを用いての比較研究までは実施できなかった。しかしながら、本研究の最大の目標であった超寡分割照射の臨床試験を2年目でX線、重粒子線治療で立案し、研究開始に至ったことは大きな成果であると考える。 陽子線治療、IMRTの多施設研究に関しては現在登録を終え、経過観察中であり、現在は統計解析の手順書について協議している。
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今後の研究の推進方策 |
JROSG泌尿器腫瘍班、および研究分担者との会議を積極的に行い、進捗状況を確認するとともに問題点の共有と効率的な解決策について協議する。とくに既存治療のビッグデータによる解析については、解析内容と担当者を明確にして推進を図る。 定位照射の臨床試験に関しては、登録を推進するとともにJROSG、J-CROS等の会議で登録患者のリクルートを依頼する。 重粒子線治療のRBE解析については、有効性について検討したため、正常組織障害の観点から再解析する。
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