研究課題/領域番号 |
21K07717
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
曽山 武士 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (00794059)
|
研究分担者 |
工藤 與亮 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10374232)
平田 健司 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431365)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 光免疫療法 / ナビゲーション / ナビゲーションシステム / フュージョン / デジタルファントム / 非剛体画像レジストレーション |
研究開始時の研究の概要 |
光免疫療法は、抗体-IR700複合体を静注して腫瘍細胞の脂質二重膜に結合させ、690nmの波長の近赤外光を照射することで抗体-IR700複合体に物理的変化を引き起こし、腫瘍細胞のみを選択的に障害する。しかし、近赤外光は光ファイバーの周囲組織に円柱状に半径1cm程しか到達しないことから、光ファイバーを腫瘍の適切な部位に穿刺しなければ、光免疫療法の十分な治療効果を期待することはできない。本研究では、光免疫療法の術中に撮像したコーンビームCT と術前に撮像したPET-CTを術中迅速に全自動でフュージョンし、光ファイバーの追加穿刺や先端位置調整を可能とするナビゲーションシステムを開発する。
|
研究実績の概要 |
2021年度は、当初予定していたフュージョンビューワーの改良やデジタルファントムを用いた照射予想域の表示に留まらず、光量分布集計機能を持つ「高精度光免疫治療システム」の開発に着手した。また、このシステムの基礎的検討を行うために、1臨床解剖に即した構造を有し、2穿刺可能、3開口可能、4CTによる腫瘍・穿刺位置の客観的評価が可能な頭頸部ファントムを開発し、7月3日の第6回 日本穿刺ドレナージ研究会と11月26日の第36回 道東画像診断・治療ケア研究会で報告した。光免疫療法のためのナビゲーションシステムを臨床で使用する際に、コーンビームCT撮像時にアーチファクトを発生しうる金属製のデバイスが問題であった。そこで、2021年度にCADでデザインし3Dプリンターで印刷した非金属製開口器と非金属製ガイドニードルを開発し、11月26日の第36回 かしわ画像研究会で報告した。 また、歯肉癌を想定した光免疫療法のためのナビゲーションデバイスとして、2021年度にインプラントの際にドリルで下顎骨に穴を空ける技術を応用し、光ファイバーの穿刺を計画通りに行うことのできる穿刺ガイドプレートを開発し、11月26日の第36回 かしわ画像研究会で報告した。2022年4月16日に、JRC合同シンポジウムで「光免疫療法と放射線医学」というテーマで講演した。 2022年度は、これまでに開発した光免疫療法専用治療計画装置を用いて、実臨床における課題抽出を行なった。施術中では限られた時間の中で治療計画の立案をする必要があるため、治療計画立案の効率化が求められる。そこで、術中CBCT画像と過去のPET-CT画像との位置合わせを自動で行う機能を実装し、CBCT画像とPET画像の位置合わせが短時間で行えるようになった。また、ディフューザ設定をマウス動作と連動させることで位置の微調整に要する時間を大幅に短縮できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、光免疫療法の適応となりうる再発頭頸部癌の症例が少なかったため、当初予定していたFDG以外の薬剤を使用したPET-CTの撮像やナビゲーションシステムへの取り込みは行なっていない。 一方で、2021年度から光量分布集計機能を持つ「高精度光免疫治療システム」の開発に着手しており、このシステムは 2022年度に予定していた「デジタルファントムを用いた照射予測域の表示」をより高い精度で可能にするものである。2022年度中にGPUを用いた超並列計算は完成し、動作検証までは完了した。2023年度は、臨床の場での精度検証を行った。2024年度は、開発したナビゲーションシステムを使用した光免疫療法の症例を重ね、治療成績を纏める予定である。以上のように、本研究は更なる症例の積み上げが必要だが、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、「高精度光免疫治療システム」に、1CT画像の読み込み機能、2ROI描画機能、3光源設定機能、4計算条件設定機能、5光子輸送計算機能、6光量分布集計機能、7ターゲット領域の解析機能、8処方光量評価、9熱傷リスク評価の機能を実装するべく、開発に取り組んだ。 2023年度は、実症例での治療計画立案件数を増やし、更なる課題抽出を行うとともに、近赤外光共同計算の精度検証および精度向上を図った。また、GPUを用いた 超並列計算を行い、計算時間の短縮を図ることで、更なる高効率化を目指した。 研究期間を延長して、2024年度に「高精度光免疫治療システム」を使用した光免疫療法の治療成績を纒めて、学会、論文で報告する。
|