研究課題/領域番号 |
21K07718
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
畑山 佳臣 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (20451487)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 放射線治療 / 肺癌 / 放射線肺臓炎 / 好中球エラスターゼ活性 / 好中球エラスターゼ / シベレスタットナトリウム水和剤 |
研究開始時の研究の概要 |
切除不能Ⅲ期非小細胞肺癌の治療成績は決して満足のいくものではなく、有害事象である放射線肺臓炎のリスクから放射線治療の適応外となる症例も少なくなかった。近年、PD-L1阻害剤による地固め療法により、Ⅲ期非小細胞肺癌の治療成績が大幅に向上することが明らかとなったが、PD-L1阻害剤は Grade2 以上の放射線肺臓炎が発症すると使用できないため、その発症抑制が以前にも増して重要となった。本研究の目的は、1)好中球エラスターゼ活性の放射線治療中の経時変化、2)好中球エラスターゼ阻害剤による放射線肺臓炎の予防効果をヒトで明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、1)好中球エラスターゼ活性の放射線治療中の経時変化、2)好中球エラスターゼ阻害剤による放射線肺臓炎の予防効果、3)放射線肺臓炎予測 因子としての好中球エラスターゼ活性値の有用性をヒトで明らかにすることである。この1)は胸部に放射線治療を行うにあたって、平均肺線量が13.5Gy あるい は正常肺V20(20Gy 照射された 正常肺の体積割合)が30%を超えた症例を対象とする。平均肺線量と正常肺V20は根治的放射線治療の線量分布図を作成し、線量 容積ヒストグラム(dose volume histogram: DVH)から算出する。対象となる症例において血漿中好中球エラスターゼ活性値および各種サイトカイン値を放射線治 療開始から終了後28日目までの間、13の区間で経時的に測定する。この部分を実施するために学内の倫理委員会に前向き研究として倫理申請を行い受承認された。 好中球エラスターゼ活性の測定には、好中球エラスターゼ活性測定キットの他、RPMI cell culture medium、BSA、EDTA Blood collection tube、蛍光プレート リーダー(励起480-490nm、蛍光515-525nmが測定可能なもの)、遠心機(プレート用遠心機を含む)、37°Cに保温可能な恒温器、tube rocker、cell culture plate等の物品・実験器具が必要となるが、これらの手配先および準備は済んでいる。 令和4年度においても本研究の適格症例がおらず、現時点で好中球エラスターゼ活性値の測定までは至っていない。入院患者を研究対象に想定していたが、コロナ禍で外来通院治療の希望が大幅に増えたことが影響している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の対象としていた放射線肺臓炎発症の高リスク群(平均肺線量>13.5Gyあるいは正常肺V20>30%)に該当する症例集積がそもそも滞っておること、および、当科入院で放射線治療を行うIII期肺癌が極めて少なかったことから、進捗は遅れている。その理由として、院内のキャンサートリートメントボードにおいて、事前に放射線肺臓炎の高リスク群が放射線治療の適応から外れるケースが少なくないこと、化学療法との併用のため当科ではなく呼吸器内科入院となるケースが多いことなどが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本研究の内容について呼吸器内科をはじめとする各科に理解と協力を求め、放射線肺臓炎の高リスク症例と予測されても、一度は研究者と患者との間でイ ンフォームドコンセントの場を設け、1例でも多く症例を蓄積するよう努めていく。 さらに、好中球エラスターゼ活性測定のコールドランを行い、対象症例が現れた際に迅速かつ的確に好中球エラスターゼ活性測定を実施できる準備を進めていく。
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