研究課題/領域番号 |
21K07736
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
菓子野 元郎 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00437287)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 活性酸素 / ATM / p53 / 細胞老化 / 放射線 / マイクロビーム / LET / oxidative stress / microbeam |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「照射後の核外シグナルによる遅発性活性酸素の生成とATM活性化が、核内p53活性維持を介した老化誘導に関わる」という仮説を立て、その検証を行う。実験では、マイクロビームによる細胞内領域限定照射を利用し、核外における遅発性活性酸素生成とそれに伴うATM活性化を調べ、そのシグナルが核内p53-老化誘導経路に影響することを調べる。この研究により、放射線生物学で未解明な核外シグナルが細胞障害に関わる機構を解き明かし、p53-老化誘導経路に依存性の高い正常細胞に特異的な防護策を提案できる。
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研究成果の概要 |
放射線照射後の遅発性活性酸素がどのように核内におけるDNA損傷応答に関わるのかについて調べた。まず核外のみX線マイクロビームで照射された場合、3Gy照射で生存率の低下が見られたが、遅発性活性酸素をアスコルビン酸誘導体(AA2G)で抑制した場合においても生存率は未処理の場合と変わらなかった。細胞全体照射ではAA2Gによる生存率の上昇が見られたため、遅発性活性酸素は核でヒットした後のDNA損傷を起点とするシグナルを補助的に増幅する役割を担っていることが示唆された。遅発性活性酸素は、核におけるATM-p53シグナルを照射3日後以降でも維持する役割を担い、細胞死、老化誘導に寄与することがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
放射線障害を引き起こす細胞内の機構の一部を解明することができた。この研究により、放射線障害を抑制する方法の探索が前進するものと期待される。特にアスコルビン酸のような抗酸化剤は放射線障害を抑制する上で役立つが、その処理は照射前からでなく、照射後からでも効果が期待される可能性が高いことが分かった。さらに新たな放射線防護剤の開発においても、今回明らかにした機構が指標として使える可能性が高い。
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