研究課題/領域番号 |
21K07737
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
小嶋 光明 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (80382448)
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研究分担者 |
伊藤 敦 東海大学, 工学部, 教授 (80193473)
吉田 茂生 東海大学, 工学部, 教授 (70174927)
大原 麻希 (小原麻希) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 研究員 (80736992)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | X線マイクロビーム / バイスタンダー効果 / レスキュー効果 / DNA二重鎖切断 / ギャップ結合 / マイクロビーム放射線療法 / 放射線誘発バイスタンダー効果 / 放射線誘発レスキュー効果 / DNA損傷 / 細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
マイクロビーム放射線療法(MRT)は新しい放射線治療法として期待されている。数十μm 幅に絞った微小X線ビームを「すだれ状」に照射することで、正常組織を守りつつ、がん組織を完全に破壊することが MRT の目的である。本研究では MRT の抗がん効果の仕組みとして「がん組織では照射領域内の細胞から非照射領域内の細胞に細胞死を誘導するバイスタンダー因子が伝達される。これによりがん組織は死滅する。これに対して、正常組織では非照射領域内の細胞から照射領域内の細胞に細胞再生に繋がるレスキューシグナルが伝達され、形態が守られる。」という仮説を立て検証する。そして、臨床応用に向けた科学的根拠の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
マイクロビーム放射線療法(MRT)は新しい放射線治療法として期待されている。数十μm幅に絞った微小X線ビームを「すだれ状」に照射することで、正常組織を守りつつ、がん組織を完全に破壊することがMRTの手法である。 本研究ではMRTの抗がん効果の仕組みとして「がん組織ではX線が照射された細胞(照射細胞)から周囲の非照射細胞にバイスタンダー因子が伝達され死滅する(バイスタンダー効果説)。正常組織では照射細胞に周囲の非照射細胞からレスキュー因子が伝達され形態が守られる(レスキュー効果説)」という仮説を立て、細胞レベルでの実験を中心に検証することを目的とした。 2021年度はヒト正常胎児肺由来繊維芽細胞(WI38)とヒト肺胞基底上皮腺がん細胞(A549)のそれぞれの細胞集団に、1GyのX線を照射野面積を変えて照射し、照射細胞1個当たりのDNA二重鎖切断(DSB)数を比較した。その結果、WI38では照射野面積が小さいとDSB数が顕著に減少していたが、 A549では同様の傾向は見られなかった。これらの結果から、正常細胞集団では照射野面積が小さくなると(照射細胞が非照射細胞に完全に囲まれている状態)とレスキュー効果が生じる可能性を見出した。 2022年度はレスキュー効果のメカニズムを明らかにするために、WI38に維持されている細胞間情報伝達機構(ギャップ結合)をリンデンで阻害し、照射野面積とDSB数の関係を検討した。その結果、リンデンの有無に関わらず、DSB数は照射野面積に依存していた。この結果はレスキュー効果にギャップ結合のみが関与しているわけではないことを意味している。次年度は細胞外情報伝達因子とレスキュー効果の関係を調べるとともに、正常・がん混合細胞を用いて「すだれ状」照射を行い、MRTにレスキュー効果とバイスタンダー効果がどのように関与しているのかを明らかにしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、正常細胞集団で生じるレスキュー効果のメカニズムには、細胞間情報伝達機構(ギャップ結合)だけではなく、細胞外情報伝達因子も関与している可能性を見出すことができた。この結果はMRTの抗がん効果を考える上で非常に重要な知見となったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
cAMPやNF-κBの経路との関連を調べるとともに、正常・がん混合細胞を用いて「すだれ状」照射を行い、MRTの抗がん作用にレスキュー効果とバイスタンダー効果がどのように関連しているのか明らかにしたいと考えている。また、ライブセルイメージングを用いて、「すだれ状」照射後の正常細胞とがん細胞の挙動を細胞死を指標として明らかにする。
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