研究課題/領域番号 |
21K07738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
曽我 茂義 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (80365387)
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研究分担者 |
奥田 茂男 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (30233456)
井上 政則 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30338157)
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40224919)
鈴木 悠史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40793287)
山田 稔 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (60365434)
山田 祥岳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383791)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | MRリンパ管造影 / MR lymphangiography / リンパ管造影 / リンパ浮腫 / リンパ漏 / リンパ管 / MRI / 光音響 / リンパ管疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ疾患はリンパ浮腫だけでも世界に1.7億人の患者がおり、癌患者の増加、手術の高度化などを背景に増加している。しかしリンパ系は殆どの疾患で診断も治療も十分に確立されていない。この主な原因はリンパ管の簡便な画像診断がなく、現在でも可視化が容易ではない事にある。従って、画像診断の進歩によるリンパ管の可視化と動態の解明が、これらの診療と研究を導くキーである。本研究では、先進的MRイメージングと独自のマルチモダリティアプローチにより、リンパ系の新規画像診断法の確立を目指す。リンパ管画像診断のレベルを押し上げ、より低侵襲で精密な治療へ展開する事で、リンパ管疾患に苦しむ多くの患者に福音をもたらしたい。
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研究実績の概要 |
これまでの我々の経験では、特定メーカーのMRIでは四肢MR lymphangiography(MRL)の際に脂肪抑制不良や感度のムラ、2-point Dixon法での計算エラーが頻発し、リンパ管の評価が不可能になる事象が多発する問題を確認しており、当該メーカーの装置でのMRLは困難であった。 この問題への対応は困難を極めたが、本年度は、ほぼ1年間をかけて数十回のテストスキャンなど、多大なる労力と時間をかけ試行錯誤(パラメーター、ポジショニング、画像処理方法等の見直し)を繰り返す事で、従来の限界を超えた、安定的な高分解MRLプロトコールの作成に成功し得た。また、検査者間の再現性を高めるため、マニュアルの整備も行った。今後はこのプロトコールを用いることで、当該メーカーのMRIでもMRLの施行が可能となるため、より幅広い施設で本検査が実施可能となり、さらなる研究の展開が期待できる。 また、鼠径リンパ節からの造影剤投与による中枢リンパ管の造影MRL(MR thoracic ductography, MRTD)は、手技の複雑さから難易度の高い検査であるが、この検査プロトコール(リンパ節への造影剤投与、撮影パラメーター等)も確立した。本検査を用いる事で通常のリンパ管造影では診断困難であった難治性リンパ漏のleak pointの同定と治療が可能となるなど有効性も確認され報告した。 本年度はリンパ浮腫に伴って生じる皮下脂肪織の変化についてMRL画像の解析も行い、リンパ浮腫の重症度の定量評価を可能にする新たな評価基準としての可能性を見出しており、今後学会や論文報告を行う予定である。 また四肢MRLの画像所見とリンパ浮腫の重症度や臨床的有用性について、学会報告や論文報告も行った。光音響画像によるリンパ管イメージングについてもデータが蓄積されており、今後MRLとの比較解析も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績に記載の様に、特定のメーカーの装置でのMRL撮影には大きな障壁があり、通常の方法では良好な画像を得るのが困難であった。これを克服するためのプロトコールの開発に想定外の時間と労力が必要であったので、当初の予定より症例数が少ないが、本研究により、より幅広い装置での検査が可能となったため、今後の研究の発展と展開を期待できる。また前倒しに勧めている項目もあることから、十分な研究成果を得ることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に他施設への異動が決定したため、新たに研究体制を構築する必要が生じるが、引き続きこれまでに開発した手法を用いてMRLやMRTDを軸としたリンパ管画像診断の発展に寄与したい。また、これまでに蓄積されたデータを用いて、リンパ浮腫の新たな重症度の定量評価方法の開発や光音響画像に関し、学会や論文での報告を行っていく。
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