研究課題/領域番号 |
21K07752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
松井 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特任講師 (90528605)
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研究分担者 |
桑子 賢一郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (30468475)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ヒト脳オルガノイド / 血管 / オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
胎生期のげっ歯類をもちいた研究により、血管由来因子がニューロンの分化や移動、回路形成などを制御していることが少しずつ明らかになってきており、血管系による神経発生の制御に注目が集まっている。一方、ヒトとマウスの血管構成細胞群の遺伝子発現プロファイルには明らかな差異があることが報告されており、胎生期ヒト脳にはマウス脳とは異なる「血管系による神経発生制御システム」が存在する可能性が示唆される。そこで、申請者は最新のオルガノイド技術を駆使して血管化ヒト脳オルガノイドを作成し、ヒトの神経発生を制御する新規血管由来因子の同定を目指す。
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研究実績の概要 |
申請者は、既存のProtocolに基づいてヒト大脳オルガノイド(Qian et al., Cell 2016)を作成し、その評価を試みた。免疫染色による解析を行った結果、このオルガノイド内部には脳室構造の周囲に神経幹細胞、その外側に神経細胞が分化した管状構造があり、胎生期ヒト脳に存在する神経管構造を再現できていることを確認した。 このほか、オルガノイドの内部に興奮性および抑制性ニューロン、アストロサイトなど、ヒト脳に存在する神経系細胞の多くが存在することも確認した。 さらに、先行研究(Wimmer RA, et al. Nat Protoc. 2019)に基づいてヒト血管オルガノイドを作成し、血管内皮細胞(PECAM-1)、血管周皮細胞(SMA, PDGFR-beta)のマーカーにより免疫染色を施行、これらのオルガノイドに含まれる細胞の評価を行った。 その後は、上記のヒト大脳オルガノイドとヒト血管オルガノイドをMatrigel内部で接合して培養を継続し、血管化ヒト脳オルガノイドの作成を試みている。今後は血液脳関門を形成するトランスポーターなど、脳血管に特異的な分子の発現状況を解析するほか、血管オルガノイドを構成する血管内皮細胞、血管周皮細胞が神経細胞の分化や生存に与える影響の評価も行う予定である。その後は、発生期ヒト脳において血管が神経細胞の移動に及ぼす影響を評価するため、蛍光標識したニューロンと血管のタイムラプス観察を行い、血管に沿ったニューロンの移動の有無を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オルガノイドの分化が予想よりも悪く、培養系の再評価が必要であったため。
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今後の研究の推進方策 |
血管化ヒト脳オルガノイドの評価を終えたのち、次の段階に進む。 今後は (i) 血管系によるニューロンの分化制御の検証 (ii) 血管を足場としたニューロンの移動の検証 (iii) 血管系による神経回路形成への作用の評価 を予定している。
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