研究課題/領域番号 |
21K07754
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小林 勝弘 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60273984)
|
研究分担者 |
柴田 敬 岡山大学, 大学病院, 講師 (00769961)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 認知機能発達 / 脳波分析 / 乳幼児 / 高周波振動 / てんかん性脳症 / 発達性てんかん性脳症 / 発達 / 認知 |
研究開始時の研究の概要 |
乳幼児の認知機能発達を阻害する要因には様々なものがあり、中でも「てんかん性脳症」ではてんかんの発作症状が比較的軽微な症例でも、強い異常脳波活動に伴い認知機能障害が起こる。治療により改善する可能性があるが、その病態機序は未だ不明である。認知機能に関わる生理的高周波に、極めて速い周波数の異常脳活動 (高周波振動)が干渉することが、この病態で認知機能障害が発生することの本態ではないかという仮説を立てたので、多数のてんかん性脳症の乳幼児の治療過程を前方視的に評価し、認知機能の改善と脳波バイオマーカーの関係性を分析することでこの病態の治療ターゲットを明確にし、合理的治療法の開発につなげたい。
|
研究実績の概要 |
小児とくに乳幼児の認知機能発達ならびにそれを阻害する病態要因に関わる一連の脳波分析研究を行っている。申請者らは既に認知機能障害を来す発達性てんかん性脳症において、頭皮脳波上の高周波・速波振動 (HFO/FO)が顕著に出現し、病態に深く関わっていることを示した。HFO/FOは通常の脳波周波数帯域より遥かに高い周波数の明瞭な振動である。頭蓋内電極記録ではてんかん原性との関係を以前より指摘されていたが、申請者らが頭皮脳波でも検出できることを示し、発達性てんかん性脳症の病勢との関係を指摘したものである。 今回の研究計画では発達性てんかん性脳症の多数症例の治療過程でHFO/FOの消長と治療効果(てんかん発作および認知・発達)の関係を詳細に、多変量解析により解明することを目指した。乳幼児の認知・発達の変化と治療経過やHFO/FOとの関係を分析することにしていたが、折悪しくコロナ禍の渦中で受診患児が計11例と激減したことと、思わしい治療効果が上がらなかったことのために、研究期間内に十分な統計解析ができる程のデータは得られなかった。将来に引き続き症例を集積しつつ分析を実現したいと考える。 並行して第二の研究として、非てんかん性のHFO/FOと認知能力や行動発達との関係という側面からもこの問題を追及しており、てんかん発作を示さない自閉スペクトラム症 (ASD)と注意欠如・多動症 (ADHD)の計124例の未投薬小児において、脳波から生理的と思しいHFO/FOを同様の方法で検出して、この出現が知能指数 (IQ)・発達指数およびADHDを欠くことと有意に関係することを示した。まだ第三の研究として、頭皮脳波から検出されるFOの真正性を確認する技術的開発も行った。 小児期HFO/FOに関する多面的研究として一定の成果を上げることができたと考える。
|