研究課題/領域番号 |
21K07758
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
亀井 美智 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (80510271)
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研究分担者 |
岩田 宏満 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (40611588)
武田 理沙 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (40832225)
木村 浩明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (50608693)
高木 大輔 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60611580)
相羽 久輝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70793834)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 吸収性スペーサー / 粒子線治療 / マクロファージ / 癒着 / 線維化 / ネスキープ / 小児固形腫瘍 / 化学療法 / ラットモデル / 小児がん / スペーサ― / ラット / 陽子線 |
研究開始時の研究の概要 |
小児がん治療において、切除不能な固形がんに陽子線治療が用いられるようになり、有害反応のリスク軽減が期待されているが、解剖学的に腫瘍と消化管が近接する症例では根治治療は陽子線治療を用いても不可能である。我々は腫瘍と近接臓器とに間隙を作るPGA(ポリグルコール酸縫合糸)を用いた吸収性スペーサー(ネスキープ)を開発し、小児領域でPhase I 臨床試験を実施している。しかしながら、本治療法を小児がんに適応する際には、化学療法併用の影響など更なる検討が必要である。本研究では小児がんの治療を想定したラットモデルを構築し、化学療法併用時の生体への影響、周囲の微小環境について検証する。
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研究実績の概要 |
ラットにPGA製スペーサーを留置後、4週ごとにエンドキサンを投与する群と、非投与群に分けて、経時的にCT撮像によるペーサーの縮小率、形態変化の評価後にそれぞれのポイントでスペーサーを摘出し、周囲の臓器の変化とスペーサー内部の評価を組織学的に行った。 【結果1】PGAスペーサーの留置後の変化について 4週から8週での厚みの増加がみられた。組織学的には、スペーサー周囲の線維化とそれに伴う形状変化が確認された。12週以降は縮小及び繊維状遺残物の残存が確認できた。エンドキサン投与群と非投与群で縮小に有意差はなく、化学療法による縮小の変化は認めなかった。しかしながら、エンドキサン投与群では、8週以降で癒着が軽快する傾向にあり、化学療法による骨髄抑制が、炎症や癒着が増悪しない結果につながったことが示唆された。 【結果2】マクロファージと癒着について スペーサー組織内に、マクロファージの集簇を認めた。マクロファージphagolysosomeによる分解が示唆された。炎症性変化が確認できた組織では、好中球や形質細胞の集簇も認め、炎症反応、サイトカイン産生による線維化が癒着にも関与している可能性が考えられた。 【結語】エンドキサン投与、非投与群ではスペーサー縮小に有意差はなく、化学療法併用での粒子線治療時にPGAスペーサ留置による間隙維持の有効性を支持する結果であった。PGA線維の周囲にマクロファージや好中球のの集簇を認め、スペーサー分解、炎症による線維化や癒着に関与していると考えた。エンドキサン投与群の癒着は留置後長期では軽快する傾向があり、エンドキサン非投与群では癒着が持続する傾向があった。癒着への化学療法の影響が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【エンドキサンによる影響】エンドキサン投与群と非投与群のスペーサー形態、厚み、組織学的所見について有意差の有無が確認できた。小児がんに対する粒子線治療での化学療法の併用を想定した場合のモデルとしての評価が達成できたと考える。 【CT画像による評価について】留置後のCT画像、スペーサー摘出後の形態評価が終了している。組織学的に評価する必要性から、同一個体ではなく、複数個体での評価とした。 【炎症によるスペーサーと組織への影響について】肉眼的、組織学的にも摘出スペーサーの周囲、内部にもマクロファージ以外に、好中球や形質細胞などの炎症反応の浸潤が確認された。スペーサー留置という侵襲的な処置であること、感染症による影響の可能性があると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
【CT画像による評価について】留置後のCT画像、スペーサー摘出後の形態評価について、個体差の影響をなくすため。最終年度は、同一個体での経時的な変化をCT画像により確認しすることとしている。 【炎症によるスペーサーと組織への影響について】スペーサー留置による、感染症による影響の変化について、肉眼的、組織的に炎症を認めた症例の形状や組織内の菌塊の有無、好中球などの炎症性細胞、壊死などについても評価し、感染が示唆される個体での変化について詳細に確認する必要があるため、最終年度に全組織の評価により、感染の影響があった個体の割合、変化の特徴について解析を予定している。
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