研究課題/領域番号 |
21K07762
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
前田 和宏 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 研究員 (60443024)
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研究分担者 |
西村 範行 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00322719)
松尾 雅文 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 特命教授 (10157266)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アンチセンス核酸 / ミオスタチン / 横紋筋肉腫 |
研究開始時の研究の概要 |
ミオスタチンは筋肉の増殖を阻害することから、その阻害は筋萎縮の治療法となる。申請者は、筋萎縮の治療法としてミオスタチン遺伝子(MSTN)のスプライシングを阻害し、MSTN mRNA産出を抑制するアンチセンス核酸(MSTN-ASO)を開発した。このMSTN-ASOは想定通り筋芽細胞の増殖を促進したが、横紋筋肉腫(RMS)細胞に投与すると増殖を阻害するという想定外の結果が示唆された。この結果はMSTN-ASOがRMSの治療薬になることを示唆した。本研究は、MSTN-ASOによるRMS細胞の増殖阻害を確定させ、マウスモデルで抗腫瘍効果を証明することで、MSTN-ASOによるRMS治療法を提唱する。
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研究実績の概要 |
横紋筋肉腫(Rhabdomyosarcoma:RMS)は、筋原性の高悪性腫瘍で集学的治療により予後は改善した。しかし、治療抵抗群もあり、より効果的な治療法の開発が喫緊の課題である。ミオスタチンは筋肉の増殖を抑制するミオカインで、筋萎縮の治療法としてミオスタチン阻害に関する研究が盛んである。申請者は、ミオスタチン遺伝子(MSTN)のスプライシングを阻害してミオスタチンの産出を抑えるアンチセンス核酸(MSTN-ASO)の開発に成功した。このMSTN-ASOは想定通り筋芽細胞の増殖を促進した。一方で、同じMSTN-ASOがRMS細胞の増殖を阻害することを示唆する結果が得られていた。 今年度は、まず、RMS細胞でMSTN-ASOが増殖を阻害することを明確にした。RMS細胞のASOによる増殖阻害とMSTN発現レベルを比較した結果、MSTN-ASOによる増殖阻害はMSTNが発現しているRMS細胞でみられることが示された。MSTN-ASOによる増殖阻害がみられたRMS細胞ではMSTN-ASOによるMSTN mRNAの産生抑制と、ミオスタチンシグナルの低下が観察された。次にRMS細胞の増殖阻害を細胞周期に注目して検討を行った。細胞周期インジケーターFast-Fucciを利用し細胞周期停止を検証したところ、S期の進行が阻害されていることが示唆された。今後は細胞周期停止に関わる因子の同定とマウスxenograftモデルでの解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MSTN-ASOのRMS細胞の増殖阻害を明らかにした。この増殖阻害は、MSTN-ASOがMSTN mRNAの産生を抑制し、ミオスタチンシグナルを低下させることにより引き起こされると考えられた。さらに、MSTN-ASOにより細胞周期の停止が引き起こされることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
1) RMS細胞の細胞周期停止に関わる因子を明らかにする。まず、細胞周期関連因子の発現を解析する。 2) ヌードマウスxenograftにMSTN-ASOを投与し、その腫瘍抑制効果を明らかにする。①RMS細胞移植とMSTN-ASO投与を同時に行い、腫瘍の拡大を検証する。②RMS細胞移植後、腫瘍をあらかじめ拡大させておいた後にMSTN-ASOを投与して大きさの変化を検証する。腫瘍の拡大を評価した後に腫瘍を摘出し、MSTN-ASOの有無で、上記の解析で同定した細胞周期停止因子の発現および活性化について検証を行う。
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