研究課題/領域番号 |
21K07773
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 椙山女学園大学 (2022) 島根大学 (2021) |
研究代表者 |
福田 誠司 椙山女学園大学, 看護学部, 教授 (30273147)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 急性骨髄性白血病 / 薬剤耐性機構 / 薬剤耐性 / 多様性 / FLT3阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
FLT3/ITD+AMLは、小児成人共に治療困難である。近年開発された二種類のFLT3阻害剤(ギルテリチニブとキザルチニブ)のいずれでも根治は困難であった。FLT3阻害剤耐性の一因は、異なる遺伝子変異を持つ遺伝的に多様なクローンが出現することであるが、申請者は、遺伝的に均一であるFLT3/ITD+AML細胞株においても機能的に異なる多様な細胞が含まれ、FLT3阻害剤耐性へ進化するのはある特徴を持つ一部の集団であることを見出した。本研究では、多様なFLT3/ITD+AML細胞の中に潜在する「FLT3阻害剤耐性に進化するクローン」の同定と解析を通して、FLT3阻害剤耐性に対する戦略を考える。
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研究実績の概要 |
FLT3/ITD遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病は予後が悪く、FLT3/ITD阻害薬に対しても耐性を獲得し、治療抵抗性となる。本研究では治療抵抗性の分子機構解析を目的として、将来FLT3/ITD阻害薬抵抗性になる細胞を同定する。 これまでに、ケモカイン受容体であるCXCR4の発現レベルに応じて、FLT3/ITD陽性ヒト急性骨髄性白血病MOLM13細胞をFACSでsortingし分離した。この中でCXCR4発現が低い細胞がFLT3/ITD阻害薬に対する抵抗性が高いことを見出した。また、FLT3/ITD阻害薬に抵抗性を獲得した細胞はCXCR4発現が低くなっていた。したがって、CXCR4発現が低いFLT3/ITD陽性細胞集団の中に、FLT3/ITD阻害薬に抵抗となる細胞が含まれると推測される。更に、CXCR4 低発現、Runx1高発現のFLT3/ITD陽性細胞が抵抗性を獲得する細胞集団の候補であることを見出した。これらは2023年にLeukemia Research誌で発表した。現在、その中から更に最も抵抗性を示す細胞を同定する解析を行っている。
また、更にFLT3阻害薬に対して抵抗性を示すFLT3/ITD陽性細胞の内、CXCR4の発現が高く、Runx1発現が低い細胞は、FLT3阻害薬を添加すると増殖が抑制されないだけでなく、添加しない場合に比べて増殖が亢進することを見出した。一方で、FLT3阻害薬に対して抵抗性を示すFLT3/ITD陽性細胞でCXCR4の発現が低くRunx1発現が高い細胞集団は、FLT3阻害薬によって増殖は抑制されないが、細胞の増殖亢進も認められなかった。このようにFLT3/ITD陽性細胞の中でFLT3阻害薬に対する抵抗性に多様性が見られること、それはCXCR4とRunx1の発現レベルに基づいて異なることを見出すことが出来た。これらは投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究で、FLT3/ITD陽性細胞がFLT3阻害薬に対する耐性を生ずる分子機構が細胞の多様性に基づくことを見出したが、多様な細胞集団の中で更にピンポイントに絞り込む作業が遅れている。今後はこれらに集中して取り組む計画である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに明らかにしたCXCR4高、Runx1低細胞集団と、CXCR4低、Runx1高細胞集団からFLT3阻害薬に対して抵抗性を示す特定の細胞集団を同定する。シングルセルによる解析のバックアップとして、網羅的な遺伝子発現解析によっても抵抗性に関連すると推測される分子群を同定したので(未発表)、それらを抵抗性細胞を絞り込むマーカーとして用いて抵抗性を示す細胞群を絞り込む計画である。
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