研究課題
基盤研究(C)
ロタウイルスは乳幼児の重症胃腸炎の原因ウイルスであり、ワクチンの重症予防効果は先進国で約90%、副反応として腸重積症(特に初回接種後1週間以内)が知られている。わが国には2011年に導入され、2020年10月に定期接種化された。本研究では、北海道の22研究協力施設と自治体におけるロタウイルス胃腸炎の入院数、流行株の変化と、ワクチンの初回接種週数・接種率や腸重積症の入院数・原因ウイルスの解析により、ロタウイルスワクチンの安全性・有効性・選択圧の評価モデルを構築し、流行株の変化を検討する。
ロタウイルスは小児の急性胃腸炎の原因ウイルスで、2020年10月より定期接種化され、サーベイランスの重要性は更に増大した。今回、北海道の小児科入院15施設におけるロタウイルス胃腸炎の入院数、ロタウイルス塩基配列の解析と札幌市のワクチン初回接種時期の検討を行った。ロタ入院数は2017から2019年は年間150例程度であったが、COVID-19による学校閉鎖(2020年3-5月)後より著明に減少し、年間10例未満で推移した。札幌市の生後15週を超えてのワクチン初回接種率は0.8%(140/16,843)であり、市販後調査の1/10程度に改善した。
ロタワクチン定期接種化によるロタ胃腸炎の減少効果については、COVID-19に対する学校閉鎖や感染対策の時期と重なったため判断は困難であるが、2021年以降にノロ、インフルエンザ、RS、ヒトメタニューモなど他のウイルス感染症では再流行を認めており、定期接種化の効果は大きいと考えられた。ロタワクチンは腸重積症との関連もあり、安全性の観点より生後15週以降の初回接種は推奨されていない。定期接種化後の生後15週未満の初回接種率は99.2%と高いことが示された。
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