研究課題/領域番号 |
21K07777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
村田 強志 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00867963)
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研究分担者 |
福田 冬馬 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60869006)
経塚 標 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00644113)
安田 俊 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50566817)
藤森 敬也 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80285030)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 胎児発育不全 / 早産 / 低出生体重 / 活性酸素 / 子宮収縮抑制薬 / 血管拡張 / 活性酸素種 / 酸化ストレス / 低出生体重児 / 切迫早産 / 子宮内感染 / 抗酸化物質 |
研究開始時の研究の概要 |
胎児発育不全は子宮内の環境の悪化によって引き起こされ、新生児の健康に影響します。しかし、未だに胎児発育不全を予知する方法はなく、胎児機能不全の胎児を保護する確立された方法もありません。胎児発育不全では、胎児の酸化ストレスが関与していることが示唆されており、抗酸化物質が胎児の保護に役立つかもしれません。 抗酸化物質であるN-acetylcysteineを母体に投与することで、胎児発育不全の胎児の酸化ストレスが減少し、発育や出生後の状態が改善する可能性があると考えております。 我々は、妊娠ヒツジを用いて、抗酸化物質が発育不全などのストレス下にある胎仔にどのように影響するのかを調べることといたしました。
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研究実績の概要 |
先制医療に向けた胎児発育不全における抗酸化物質を用いた胎児治療開発に向けた研究を行った。diet induced fetal growth restrictionの作成は困難であり、児へのストレスの代替案として、当教室で作成実績がある妊娠日齢120程度の早産・低出生体重胎仔モデルを対象とし、酸化ストレスを除去しうる物質として、子宮収縮抑制薬であるリトドリン塩酸塩を選択した。保存血清も含め、妊娠ヒツジ計10頭の母獣胎仔の血清を収集した。リトドリン塩酸塩は短期投与による血管拡張作用があると考えられ、微小組織の血流に影響を及ぼし、酸化ストレスを減少させるといった仮説を考えた。 早産・低出生体重胎仔モデルに対するリトドリン塩酸塩の母獣投与の有無によって、母獣、胎仔の活性酸素種マーカーの変動が生じるかどうかを調べた。リトドリン塩酸塩投与群ではリトドリン塩酸塩を2時間投与し、コントロール群では生理食塩液を2時間投与した。母獣、胎仔の血清はそれぞれ薬物投与前、薬物投与開始後1時間および2時間で採取した。採取した母獣、胎仔血清において、ELISAにて8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)を測定したが、リトドリン塩酸塩の投与前後において、また、リトドリン塩酸塩投与群と非投与群との比較において、8-OHdGの有意な変化は認めなかった。 早産・低出生体重胎仔モデルにおいて、リトドリン塩酸塩が母獣、胎仔の活性酸素種を減少させるantioxidative effectは証明されず、また、活性酸素種が増加する有害事象も示唆されなかった。胎児発育不全においてリトドリン塩酸塩が抗酸化物質して児に有益な効果を示す可能性は否定的であるが、一方でリトドリン塩酸塩の投与は母獣および胎仔の活性酸素種に影響を及ぼさず、子宮内胎児蘇生において大きな副作用なく使用できる可能性が示唆された。
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