研究課題/領域番号 |
21K07787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
竹内 一朗 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児内科系専門診療部, 医員 (30790000)
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研究分担者 |
鳴海 覚志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40365317)
阿久津 英憲 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 生殖医療研究部, 部長 (50347225)
秦 健一郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, シニアフェロー (60360335)
石黒 精 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 教育研修部, 部長 (90222984)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 遺伝性疾患 / 先天性貧血 / 炎症性腸疾患 / ポリメラーゼε / TP53 |
研究開始時の研究の概要 |
複数の器官に異常が生じる「症候群」の臨床像と病態の解明が求められているが、近年の遺伝学の発展に伴い、原因遺伝子が同定されつつある。この度、炎症性腸疾患・先天性貧血・成長障害を呈する症例から同定された新しい原因候補遺伝子に対して、線維芽細胞やiPS細胞などを用いて解析することで、疾患が発症する機序を明らかにして「新しい症候群」を確立し、今後の診断や治療といった臨床応用への発展を目指す。
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研究成果の概要 |
原因不明の先天性貧血と生後早期に発症した炎症性腸疾患、および低身長と発達遅滞を呈する女児から検出されたPOLE遺伝子変異は、ポリメラーゼε (Polε)を構成する4量体のひとつであるPOLE1タンパクの発現低下と核内移行障害の原因となり、TP53の発現亢進につながることが明らかとなり、動物実験でも貧血が再現された。本研究によって検出されたPOLE遺伝子変異が機能喪失型変異であることが解明され、Polε異常によるDNA合成障害と強い細胞ストレスの結果として各症候が生じたことが明らかとなった。本結果を元にPOLE遺伝子を原因とする先天性貧血と炎症性腸疾患を呈する新たな症候群を提唱すべく論文化した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
患者から同定されたPOLE遺伝子変異はこれまでに報告のないエクソン部位に位置する変異であり、Polεに重度の機能障害をもたらした結果、生体内では造血障害と腸の恒常性破綻につながることが初めて明らかになった。POLE遺伝子異常による疾患スペクトラムの重症型として先天性貧血とIBDが生じ得ることが報告されたため、POLE遺伝子が同様の表現型を呈する患者の遺伝子検査の対象となり、本症候群の早期診断につながる可能性がある。さらに、患者の先天性貧血と炎症性腸疾患が造血幹細胞移植によって根治されたことから、早期診断によって予後の向上につながることが示唆された。
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