研究課題
基盤研究(C)
RelAハプロ不全を有する反復性口腔粘膜障害を呈する1家系の報告があるが、ヒトにおけるRelAの役割は不明な点が多い。10歳未満で発症したSLE患者と家族について全エクソームシークエンス解析を行った結果、5人の患者においてRelAのヘテロ変異を見いだした。NF-κBレポーターアッセイの結果によりこの変異はハプロ不全ではなくドミナントネガティブに働くことを証明した。また全患者においてType I IFNの亢進を確認した。ドミナントネガティブ変異によるRelA異常症とType I IFNの関連を明らかにするとともに疾患概念を確立し、「ヒトにおけるRelAの役割の解明」を目指す。
周期性発熱、JIA、IBDなどを呈した常染色体顕性RELA異常症を5家系解析した。患者RelA変異タンパク質は、正常なRelAタンパク質に結合し、その機能を阻害することから、優性阻害効果を持つことが判明した。シングルセルRNA解析では、骨髄系樹状細胞と形質細胞様樹状細胞において、TLR7の遺伝子発現が上昇していた。一方、リンパ球や骨髄球細胞では、IRF7やMyD88の遺伝子発現の上昇が認められた。すなわち、優性阻害効果を持つRelA変異タンパク質により、TLR7やIRF7遺伝子の発現を強く誘導されることでI型インターフェロンの亢進をきたし、自己炎症性疾患の発症につながっていると考えられた。
NF-κB経路とインターフェロン経路の関連は最近注目されているが、マウスモデルでの解析が主だった。今回、世界ではじめて、NF-κB経路のcanonical経路に関わり、中核として働くRELA分子の異常が、TLR7やIRF7遺伝子の発現に影響し、I型インターフェロンと関連することを証明した。JAK阻害剤など治療への応用につながるのみならず、他のNF-κB経路に関わる因子とインターフェロン経路の関連が今後注目される。また治療応用としてJAK阻害剤が有用である可能性があるため、効果的な標的治療につながる可能性が高いと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 5件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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