研究課題/領域番号 |
21K07793
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐野 史和 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (00622375)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | てんかん / アストロサイト / 苔状繊維 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的を達成するには、①てんかん性神経回路形成(苔状繊維異常発芽と再回帰性興奮性シナプス形成)時期を明らかにすること、②てんかん原生型アストロサイトとてんかん性神経回路形成の因果関係を解明することが必要となる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的を達成するには、①てんかん性神経回路形成(苔状繊維異常発芽と再回帰性興奮性シナプス形成)時期を明らかにすること、②てんかん原生型アストロサイトとてんかん性神経回路形成の因果関係を解明することが必要となる。 前年度までに①に関する研究として、モデルマウスの苔状繊維異常発芽と再回帰性興奮性シナプス形成時期とてんかん発作閾値低下との時間的相関の解析を行い、ZnT3抗体 (苔状繊維の前シナプスマーカー)を用いた蛍光免疫組織染色法によって、苔状繊維異常発芽がけいれん重積発作誘発後、てんかん原生獲得までの間に、経時的に進行することを明らかにした。さらに、この苔状繊維異常発芽が、けいれん閾値を低下させることをピロカルピン誘発けいれん発作によるin vivo実験で明らかにした。すなわち、けいれん重積誘発28日後に苔状繊維異常発芽は進行し、この時期に、易けいれん性を獲得しており、苔状繊維異常発芽とけいれん閾値の低下に相関が認められることが明らかとなっていた。さらに②に関連して、てんかん原生型アストロサイトとてんかん性神経回路形成の因果関係を解明することを目的として、Ca2+活動依存的なナプス新生と関連が知られているGrm5に着目し、蛍光免疫組織染色法によってその活性化の時空間的特徴を解析した。その結果、けいれん重積誘発7日後から28日後にかけて、アストロサイトにおいてGrm5の発現が亢進することを明らかにしてきた。 本年度は、アストロサイト特異的Grm5cKOマウス(GlastcreERT2::floxGrm5)において、苔状繊維の異常発芽が抑制されること、けいれん閾値低下(てんかん原性獲得)が抑制されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に予定した、再回帰性興奮性シナプス形成時期の解明に関するPSD95の発現に関しては、解析が行えなかった。しかし、本年度に予定していた、アストロサイト特異的Grm5cKOマウス(Glast-creERT2::floxGrm5)を用いた実験までは順調に行うことができた。また、PSD95の発現に関する解析の予備的検討として、蛍光免疫組織染色法による検討を行い、良好な結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、苔状繊維異常発芽とけいれん閾値の低下に相関が認められた。また、(これまでの科研費課題で格にしてきた)次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析から得た複数の発現変動遺伝子について、特にGrm5に注目し、その後、アストロサイト特異的Grm5cKOマウスにおいて、アストロサイトの異常Ca2+興奮性が抑制され(Ca2+イメージング法)、結果として苔状繊維異常発芽が抑制されるか(蛍光免疫組織染色法)、てんかん発作閾値低下を予防できこと(行動観察)を見出した。 今後は、より詳細な分子メカニズムの解明のため、アストロサイト特異的Grm5cKOマウスにおいて、苔状繊維異常発芽抑制が興奮性シナプス形成も抑制できるかについて、蛍光免疫組織染色法を用いて検討を追加する。また、てんかん発作閾値低下を予防しうる更なる裏付けのため、脳波解析を追加予定である。
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