研究課題/領域番号 |
21K07804
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50326328)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 第VIII因子 / 血友病 / 凝固 / トロンビン / 第IX因子 / インヒビター / 遺伝子組換え蛋白 / 凝固機能 / FVIII / 遺伝子組み換え / 機能 / 結合 / 血友病マウス / 活性化 / 機能獲得型蛋白 / 包括的凝固機能 |
研究開始時の研究の概要 |
血液凝固第Ⅷ因子は欠乏すると重篤な出血傾向(血友病A)、増加すると血栓傾向を示す血液凝固制御に重要な因子である。凝固を促進するにはトロンビンの第Ⅷ因子の活性化、凝固を抑制するには活性化された第Ⅷ因子の不安定性に加え、活性型プロテインCによる不活化が関与する。そのことから、本研究は第Ⅷ因子の各凝固蛋白の結合領域をターゲットにした改変した第Ⅷ因子蛋白を設計して作製し、本因子の作用が持続そして増強するタイプならびに第Ⅷ因子インヒビターへの反応が低下する、多くの機能を獲得した血友病Aに対する新規第Ⅷ因子製剤の開発、そして第Ⅷ因子関連機能制御からみた抗血栓薬の開発の基礎研究である。
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研究実績の概要 |
1.第Ⅷ因子-トロンビン制御から見た凝固・抗血栓薬開発の応用: トロンビンはFⅧのR372, R740, R1689を開裂して活性化させる極めて重要な反応系である。我々はFⅧのK1693N変異がその近傍のR1689開裂を抑制し、その結果、FⅧ活性化障害をきたすFⅧ分子異常症を報告した(日本血液学会総会2022)。P4’領域でトロンビン開裂に影響を及ぼす理由として、N変異が開裂領域に間接的な構造変化をもたらしたと推測するが、今までP4’変異でのトロンビン開裂異常の報告はなく、この変異体蛋白の構造機能を解析し、FⅧ開裂促進・抑制機序のより詳細な解明を現在行っている。
2.活性化第Ⅷ因子の活性安定性から見た凝固・抗血栓薬開発の応用: 高活性機能型FⅧの応用: FⅧa-FⅨa結合親和性を高め、内因性FX複合体活性を増強させる変異体の作製に成功した。本変異体はFⅧの安定性を保ち、活性化FⅧからのA2ドメイン解離を遅延させ、野生株に比してFⅧの凝固機能を2倍程度高め、F8KOマウスにおける尾切断出血モデルにおいて止血効果が野生株の4倍近い高凝固能を示した。最終報告論文は国際雑誌(Blood Advances,2023)に掲載された。
3.インヒビター結合親和性のアプローチからみた凝固薬開発の応用: インヒビターに対する高機能FⅧ蛋白の応用: インヒビターの主要エピトープ(A2,C2ドメイン)認識インヒビターの出現時でさえFⅧ機能を発揮するporcine-hybrid変異FⅧ蛋白の作製に成功し、インヒビター反応性をin vitro実験(血漿、全血)にて減弱させ、インヒビター存在下で凝固能を持続することがわかった。本結果を米国血液学会2022で発表した。F8KOマウスを用いたin vivo評価も現在、実施しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第VIII因子の構造機能解析、他の凝固因子との相互作用解析を通じて、高機能活性型第VIII因子作製を実施していき、in vitro, in vivo系実験で実証していくことについては、当初の計画から考えると順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記で述べたように、引き続き、研究を進めていき、最終年度にはさらなる研究の進展、そして最終報告を行っていく予定である。今回得た成果は、今後、血友病医療の新規の治療薬作製に応用されることができる可能性があり、さらに広げて進めていきたい。
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