研究課題/領域番号 |
21K07811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
芳野 信 久留米大学, 付置研究所, 客員教授 (40080569)
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研究分担者 |
高橋 知之 久留米大学, 医学部, 准教授 (20332687)
瀬戸口 修一 福岡大学, 薬学部, 講師 (80826032)
高田 二郎 福岡大学, 薬学部, 教授 (90122704)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高アンモニア血症 / α-ケトグルタル酸 / mTORC1 / タンパク質合成 / 治療 / α-ケトグルタル酸Na / アンモニア / 尿素サイクル / ジメチルa-ケトグルタル酸 / グルタミン酸 / グルタミノリシス / アルギニン / オルニチン / mTOC1 / 体タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
生まれつきの原因でからだの中にアンモニアがたくさんたまる病気がある。アンモニアは脳に対して大変毒性が強いので、できるだけ速やかに下げる必要がある。アンモニアは主にアミノ酸から作られる。私たちは、アンモニアをもとのアミノ酸に戻し、さらにアミノ酸を身体のタンパク質にすることにより、アンモニアを下げ、一方、身体の発育にも役立てるという、新たな原理に基づく治療法の開発を行っており、これまでに一定の成果をあげている。
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研究実績の概要 |
本年度は主に以下の2点につき検討した。1)肝障害に伴う非特異的高アンモニア血症に対してもAKGおよびDKGが有効か否かを検討した。まずthioacetoamide (TAA)による肝障害マウスモデルを作成し、TAA非投与マウスと比較して有意に血中アンモニア値が上昇することを確認した。ついでそのマウスモデルにAKGを投与すると経時的にアンモニア値が下がる傾向があるが引き続き検討予定である。2)アンモニアがタンパク質合成を阻害する可能性があり、このことが高アンモニア血症患者においてその急性期には血中アンモニア上昇の助長因子として作用し、慢性期には成長障害の一因となる可能性が考えられる。アンモニアの蓄積によってmTORC1の活性化因子であるAKG濃度が低下し、mTORC1の活性が抑制され、翻訳の調節にかかわるp70S6Kinase (S6K)、 4E-BP1のリン酸化(活性化)が抑制されるというしくみを介してタンパク質合成が阻害されることが推測される。この検証のため、まず培養マウス胎仔線維芽細胞(MEF)を一定以上の濃度のアンモニアを添加した培養液で培養したところ、細胞内AKG濃度の低下が認められた。ついでアンモニア非添加・添加下で培養したMEF抽出液を用いてS6Kおよび4E-BP1のリン酸化率を求めたところ、アンモニアの添加により4E-BP1のリン酸化率は低下の傾向を示したがS6Kは本条件下では明らかな傾向は認めなかった。以上からアンモニアが翻訳を抑制しタンパク質合成を阻害する可能性が考えられた。今後はAKGまたはDKGがその阻害を回復させる効果があるかどうかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1)thioacetoamideによる実験的肝障害モデルにおける非特異的高アンモニア血症に対するAKG、DKGの血中アンモニア濃度低下効果の評価(in vivo実験)は令和5年度内に終了予定であったが、投与法などの技術面での改良が必要であり、次年度も引き続き行う予定である。2)培養細胞系においてアンモニアがタンパク質合成にあたえる効果についての研究は、4E-BP1のみならずS6Kのリン酸化についてもさらに検討する余地があり、令和5年度末の時点では、本実験の基礎情報が得られた段階と評価される。
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今後の研究の推進方策 |
1)TAAによるin vivo実験については、今後、条件を検討の上、効果の評価を行う予定である。 2)また細胞培養系を用いた実験では、さらに、①添加アンモニアの濃度や培養時間などの因子を検討し、4E-BP1、S6Kのリン酸化の評価の至適条件を決定する、②その条件の下で、アンモニアが培養細胞内のAKGを含むクエン酸サイクル代謝産物、ATP/ADP、GTP/GDPなどの濃度を低下させるかどうかを評価する、③さらにアンモニアがタンパク質の合成・分解速度に与える影響を検討する。それらを踏まえたうえで、④アンモニアで影響を受けることが確かめられた現象に関してAKGやDKGの添加が回復効果を示すかどうかを検討する。
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