研究課題/領域番号 |
21K07813
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
工藤 耕 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20455728)
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研究分担者 |
土岐 力 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50195731)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 組織球症 / BRAFV600E / 微小残存病変 / ランゲルハンス細胞組織球症 / 骨髄病変 |
研究開始時の研究の概要 |
LCHにおいて、分子レベルの骨髄病変の臨床的意義が未解明である。我々は先行研究において、高感度遺伝子定量解析法により、LCH骨髄病変がBRAF V600E変異陽性例において高頻度に認められ、骨髄変異陽性細胞量は、臨床型および予後と相関が認めることを明らかにした。この結果より、BRAF V600E変異陽性例においては、骨髄がLCH病変の供給源であることが示唆された。以上より、LCH骨髄病変細胞の細胞起源および特性を明らかにし、新たな遺伝子異常の探索を行い、最終的にLCH骨髄病変の生存優位性の機序を解明するための研究を行う。
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研究実績の概要 |
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)における骨髄病変に注目し、初診時の骨髄病変の遺伝子変異を定量的解析を行ったところ、低年齢症例や多臓器型症例など、臨床的高リスクLCH症例の特徴に一致し、さらに再発が有意に多かったことから、初診時の骨髄血中の遺伝子変異陽性細胞比率は再発リスク因子である可能性が示唆された。さらに、治療中の骨髄血中の遺伝子変異陽性細胞は化学療法中も持続的に検出され、病勢や再発リスクと相関があることが示唆され、白血病での微小残存病変に相当する可能性が示唆された。以上の得られた新知見を論文報告し、学会発表した。Kudo K, et al.BRAF V600E-positive cells as molecular markers of bone marrow disease in pediatric Langerhans cell histiocytosis. Haematologica. 2022;107(7):1719. つぎに骨髄血中のBRAF遺伝子変異陽性細胞はどの分画に多く存在するかについて調べた。CD34陽性細胞を磁気ビーズ法で濃縮し、遺伝子変異解析を行ったころ、臨床的高リスク症例では、CD34陽性細胞分画に遺伝子変異陽性細胞がより多く含まれていた。低リスク症例では既報と同様に存在しなかった。しかし、少数例でのみ解析を実施しており、今後症例を増やして検証を行う。また、骨髄血全体およびCD34陽性分画に焦点を当てて、網羅的遺伝子発現解析を行い、BRAF遺伝子以外の遺伝子異常や予後因子につながる分子機構について探索的な解析をしている。 当初予定した疾患モデル細胞株を作成し、骨髄中のBRAF遺伝子陽性細胞の生存優位性について調べようとしたが、CD34陽性細胞比率などLCHの骨髄病変を模倣しているといえず、データベースによると遺伝子発現パターンも異なっていた。このため、モデル細胞株の作成を中断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した疾患モデル細胞株を作成し、骨髄中のBRAF遺伝子陽性細胞の生存優位性について調べようとしたが、CD34陽性細胞比率などLCHの骨髄病変を模倣しているといえず、遺伝子発現パターンも異なっていた。このため、モデル細胞株の作成を中断し、臨床検体で生存優位性にかかわる因子について解析する予定とした。
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今後の研究の推進方策 |
治療開始前の骨髄血中の遺伝子変異陽性細胞比率が高い症例を選んで、網羅的遺伝子発現解析を実施したが、変動遺伝子の解析において、より多くの症例のサンプルが必要となり、現在、検体数を増やして、解析を準備している。その後、有力な発現遺伝子変動に関与する候補分子が得られた場合、確認の免疫染色や遺伝子発現解析に加えて、シングルセル遺伝子発現解析を予定している。
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