研究課題
基盤研究(C)
肺動脈性肺高血圧 (PAH)は、原因不明の予後不良な肺血管閉塞性病変を伴う肺高血圧であり、新規の治療法と予防法の開発には病態解明が重要である。周産期侵襲が思春期・成人期のPAHの発症に関わるかは、今後の課題である。これは、①新生児医療の進歩による成人移行例の増加、②周産期の介入の個別化予防の可能性、③エビゲノム変化の受攻期としての周産期の3点から重要である以上から、本研究は、肺循環のBarker仮説の検証研究であり、思春期・成人期のPAHの予防、治療に資する事が、本研究の全体目標である。
肺動脈性肺高血圧 (PAH)は、特発性、遺伝性(BMPR2)ないし二次性(炎症等)に発症する原因不明の難治性疾患である。そこで、(1)周産期低酸素のラットPAHの増悪効果と肺血管平滑筋の細胞特性とDNAメチル化 の評価、(2)BMPR2欠損、MCP1受容体(CCR2)欠損のラットPAH増悪・改善効果を検討した。周産期低酸素は、ラットPAHを増悪し、肺動脈平滑筋は、DNAメチレーションに関連して、増殖性、炎症性を示した。BMPR2欠損、CCR2欠損は、各々PAHを増悪・改善し、増殖性、炎症性を増悪・抑制した。本研究は、実験的肺高血圧の病態への炎症を解する機序の関与を示し、治療応用が期待された。
PAHは、特発性、遺伝性ないし種々の刺激に対して2次的に発症する小肺動脈の閉塞性病変を伴う原因不明の難治性疾患で、予後の改善、予防には病態解明が重要である。本研究により、周産期侵襲(周産期酸素)ないしCCR2を解する炎症が肺高血圧の病態に関与することが明らかとなった。本研究は、新生児医療の進歩による成人移行例の増加、周産期の介入の個別化予防の可能性、ヒトの生涯の中でエピゲノム変化の受攻期としての周産期の3点から重要であり、さらに炎症の関与を示した。肺循環に於けるDOHaD(Developmental Origin of Health and Disease)(Barker)仮説の検証となる。
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