研究課題/領域番号 |
21K07828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
後藤 優美子 東海大学, 医学部, 客員講師 (50624574)
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研究分担者 |
石本 人士 東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
亀谷 美恵 東海大学, 医学部, 客員准教授 (50338787)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | チロシンキナーゼ受容体TrkB / 胎盤 / 母児間クロストーク / BDNF/TrkBシグナル / 胎児発育不全 |
研究開始時の研究の概要 |
胎児発育不全は全妊娠の5-10%に生じる妊娠合併症であり、周産期死亡や出生後の発育にも関わるため病態の解明と治療法の確立は重要な課題である。TrkBは脳由来神経栄養因子BDNFをリガンドとし、神経細胞の生存、分化、増殖に関与することが知られている。一方で、TrkBは胎盤に発現しており「胎盤でのBDNF/TrkBシグナルを介した母児間のクロストークが胎児脳の発育に関与する可能性」がある。そこで本研究では、胎盤に発現するBDNF、TrkBについて免疫組織化学や分子構造を解析する手法や細胞株を用いて分析し、胎盤の胎児側と母体側に相違がみられるかを調べ、胎児脳の発育との関連性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、「胎盤におけるBDNF/TrkBシグナルを介した母児間のクロストーク、すなわち胎盤のBDNF/TrkBシグナルを介した胎児脳の発達レベルのモニタリング機構について明らかにすること」を目的とする。 2022年度は、胎盤に発現するTrkBスプライシングバリアント解析結果について報告した。胎児発育不全症例では妊娠週数が早い24 週の症例でTrkB の全てのexonのmRNA発現が認められ,週数が進むにつれて発現が低下する傾向が見られた。BDNFについては重症SGA群においては軽症SGA群と比較して有意に高かった。しかし正常発育例との比較では低い傾向があるものの有意差はなかった。また胎児発育に関わらず多くの症例においてIG like ドメインは発現していた。これらの結果は、既知の主要なTrkBアイソフォームではなく、さらに異なるアイソフォームの存在を暗示していた。 また、これらのmRNA発現が必ずしもタンパク質の発現を反映しないことから、免疫組織化学およびリアルタイムPCRの結果をもとに、T1, T-Shc, full lengthに加えて他のアイソフォームのTrkBの識別をタンパク質レベルで行う必要性が明らかになったため、これらのモノクローナル抗体作成に着手した。TrkBの各アイソフォーム遺伝子コンストラクトをもとにHEK293あるいはA20のそれぞれの培養細胞系に各アイソフォームを発現させ、BALB/cマウスに免疫を行った。 また、母子境界におけるBDNF/TrkB発現がプロゲステロンおよびグルココルチコイドに大きく影響を受けることから、両ステロイドの妊娠免疫調節との関連性および免疫調節におけるプロゲステロンのグルココルチコイドに対する優位性を明らかにし、国際誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、臨床検体についてTrkB スプライシングバリアントの発現を解析し、FGRにおける傾向を掴むことができた。また、これらの情報をもとに、どのようなモノクローナル抗体を作成するべきかを明らかにすることができた。すでにモノクローナル抗体作成に着手しており、母子境界の詳細な解析が予定通り行われる可能性が高い。
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今後の研究の推進方策 |
モノクローナル抗体を作成したのち、JEG-3あるいはBeWo細胞株を用いてin vitro培養系におけるアイソフォーム発現とBDNFの発現量の変化およびそれに関連して動く関連遺伝子群を同定する。
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