研究課題/領域番号 |
21K07835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
道上 敏美 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 骨発育疾患研究部門, 部長 (00301804)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | リン代謝 / X連鎖性低リン血症性くる病 / PHEX / 骨芽細胞 / 骨細胞 / iPS細胞 / リン |
研究開始時の研究の概要 |
X連鎖性低リン血症性くる病 (XLH)は、PHEXの機能喪失に基づく。XLHにおける過リン酸尿と活性型ビタミンD低下の原因がFGF23過剰産生であることが判明したが、FGF23はPHEXの基質ではなく、PHEXの機能はいまだに不明である。本研究においては、マウスモデル及びPHEX欠損iPS細胞モデルを用いて、PHEXの生理的基質及び機能を探索し、XLHの病態形成分子機構の完全な理解をめざす。
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研究実績の概要 |
遺伝性低リン血症の中で最も頻度が高いX連鎖性低リン血症性くる病(XLH)は、エンドペプチダーゼに類似した構造を有するPHEX遺伝子の機能喪失に基づく。XLHにおいては、骨芽細胞/骨細胞からのFGF23過剰産生により尿中リン酸排泄増加、低リン血症、ビタミンD活性化障害をきたすが、FGF23はPHEXの生理的な基質ではなく、XLHの病態には不明な点が多く残されている。そこで、本研究においては、PHEX欠損ヒトiPS細胞モデル及びマウスモデルを用いて、XLHの病態形成における新たな分子機構を解明することを目的とした。健常男性由来のヒトiPS細胞株にCRIPSR/Cas9によるゲノム編集を適用し、PHEX欠損iPS細胞を樹立し、遺伝的に同質 (isogenic) な親株をコントロールとして、骨芽細胞/骨細胞系列に分化誘導して解析した。βグリセロリン酸を含む骨芽細胞系列への分化培地を用いて49日間培養したところ、いずれの細胞においてもRUNX2の発現はDay28にピークを示した。FGF23の産生はPHEX欠損 iPS細胞で増加していた。興味深いことにPHEX欠損 iPS細胞においては石灰化が亢進しており、腎臓との相互作用が排除されリン供給が充分なin vitro条件下においては、PHEX欠損は石灰化を促進しうることが示唆された。培養上清中のピロリン酸とATPはPHEX欠損 iPS細胞で増加しており、アルカリホスファターゼの活性低下と関連していた。ANKやENPP1の発現には差はなかった。一方、PHEX欠損 iPS細胞においてはDMP1、osteopontin、RUNX2、FGFR1、EGR1など様々な分子の発現が増強しており、これらの結果はXLHのマウスモデルであるHypマウスの骨芽細胞/骨細胞での解析結果と一致していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PHEX欠損iPS細胞で認められたin vitro石灰化の亢進は、XLHで見られる異所性骨化を想起させる。また、PHEX欠損iPS細胞においては、FGF23の産生増加に加えて、DMP1やosteopontinなどのSIBLINGsファミリー蛋白質の発現増加やFGFRシグナルの活性化、細胞外ピロリン酸やATPの増加など複合的な異常が存在することが明らかとなった。これらの変化はHypマウスでの知見と一致しており、XLH病態形成への関与が示唆される。
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今後の研究の推進方策 |
PHEX欠損iPS細胞で認められた種々の分子の発現変化について、病的意義を検討する。また、XLHにおいては骨芽細胞/骨細胞のリン感知機構に異常が生じている可能性があるので、樹立したPHEX欠損iPS細胞とコントロール細胞とでリンに対する応答性を検討する。また、XLHの骨芽細胞/骨細胞の異常についてさらに網羅的な解析を行うため、Hypマウス及び野生型マウスから単離した骨細胞を用いて、RNAseqを行う。
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