研究課題/領域番号 |
21K07841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
橋井 佳子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 小児科主任部長 (60343258)
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研究分担者 |
戸村 道夫 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (30314321)
香山 尚子 大阪大学, 高等共創研究院, 准教授 (40548814)
白川 利朗 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (70335446)
片山 高嶺 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70346104)
皆川 光 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60792132)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ビフィズス菌 / KikGRマウス / がんワクチン / 腸管免疫 / パイエル板 / 樹状細胞 / WT1 / 免疫細胞の動態 |
研究開始時の研究の概要 |
B longum420は腸管免疫を利用したまったく新たな抗腫瘍ワクチンである。すでに皮下腫瘍モデルマウスにおいて有効性を明らかにした。本抗腫瘍ワクチンにおいて腸管粘膜下に存在するパイエル板の樹状細胞に取り込まれWT1特異的キラーT細胞が産生されていることを明らかにした。本研究ではどのような樹状細胞にB longum420取り込まれWT1特異的キラーT細胞が生み出されているのか、生み出されたT細胞はその後、腸間膜リンパ節、腫瘍へと移動しているのかを明らかにする。どのような臓器に行きやすいのかを明らかにすることにより本ワクチンの将来の適応臓器を明らかにすることが可能となる。
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研究実績の概要 |
B longum 420はビフィズス菌にWT1タンパクをコードする遺伝子を組み込み、その表層にWT1タンパク質を発現させた製剤である。本剤を用いて担がんモデルマウ スに経口投与にて抗腫瘍効果を確認した。腫瘍内にWT1特異的キラーT細胞の増加を認めた。このT 細胞のその後の腫瘍までの動態をKikGRマウスを用いて可視化するための予備実験を開始した。①非担がんC57BL/6マウスにB Longum420を内服させ、一方、WT1蛋白を標的とするペプチドワクチンを皮下接種し1週間ごとにWT1特異的キラーT細胞をWT1テトラマー解析にて検出し、経口製剤と皮下接種でWT1特異的キラーT細胞の産生量を比較した。この結果WT1蛋白を標的とするペプチドワクチンを皮下接種したマウスにおいてより高頻度のWT1特異的キラーT細胞を検出した。②WT1蛋白を高発現している急性骨髄性白血病細胞株であるC1498をC57BL/6マウスに接種し、経口製剤と皮下接種で腫瘍縮小効果を検討したところ、皮下接種製剤で抗腫瘍効果が高かった。このことを踏まえ、予備実験としては皮下接種モデルを用いて免疫応答を可視化し、その後に内服製剤にて応用することとし、KikGRマウスを用いて皮下接種をおこない、免疫応答細胞を検出するプロトコールの標準化をおこなうとともに腸管へのUV照射の照射機器の習熟、照射線量、照射時間など方法の検討をおこなった。実際にマウスの腸管免疫担当細胞の検出にも着手した。すなわち非担がんKikGRマウスの腸管粘膜下リンパ節に405nm 1分間 UV照射をおこない、24時間後、腸管粘膜下リンパ節の免疫担当細胞をFACS Symphony (蛍光色素:blue, red, yellow, Violet)で解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1)照射方法の確立 KikGRマウスではUV照射された細胞は緑(KikGr)⇒赤(KikRed)へ変化する。KikGRマウスの皮膚にUV照射し、KikGrとKikRed細胞を分離し、かつKikRed中の免疫担当細胞の検出を試みた。すなわちKikGRマウスは照射後PEの波長をもつためフローサイトメトリー法による各血球細胞の同定方法を確立には蛍光色素の選択が重要であった。さらに腫瘍組織、各臓器の組織において免疫組織化学染色でKikred細胞および免疫担当細胞の検出を行えるかを検討した。この結果、KikGRマウス自体の発色が強いため現行の蛍光色素抗体ではフローサイトメトリー法で少数免疫担当細胞を検出することは困難であることが判明した。免疫組織化学染色ではさらにWT1特異的キラーT細胞の割合が1%にみたないことが予測されるため、検出は困難であると考えた。このため再度、蛍光色素抗体の選択や抗体同士の組み合わせを変えてT,B細胞、樹状細胞等の免疫担当細胞の検出を試みている。 2)腸管免疫応答 一方、腸管免疫担当細胞の検出にも着手した。すなわち非担がんKikGRマウスを用いて腸管粘膜下リンパ節に405nm 1分間 UV照射をおこない、24時間後、腸管粘膜下リンパ節の免疫担当細胞をFACS Symphony (蛍光色素:blue, red, yellow, Violet)で解析した。CD8+KikRedは全腸管粘膜リンパ節細胞中21.7%であったが死細胞が多く生細胞のみでは3.7%と減少した。この現象は皮下細胞では生じず腸管粘膜リンパ節でのみ生じるため照射時間等の再検討をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
前回、腸管粘膜下リンパ節の免疫担当細胞のうちCD8+T細胞を検出しえたが、頻度が低かった。この原因のひとつは染色、フローサイトメトリーによる解析中に死細胞が増加したことが原因であった。皮下接種モデルでは生じなかったことから腸管免疫担当細胞に特化した事象と考えている。このため今後効果的な抗体パネルを作成後、死細胞を増やさない工夫を大谷大学との連携を強化しておこなっていく。すなわち腸管粘膜下免疫組織への紫色のレーザー照射時間、照射線量において最適な条件を検討する。またフローサイトメトリー解析における抗体パネルの作成する。C1498などWT1高発現腫瘍細胞を接種したKigGRマウスを用いて実際にWT1ペプチドワクチンを皮下接種し、腫瘍内の免疫細胞を検出する。その結果を経口がんワクチンへ外挿し、検証する。
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