研究課題/領域番号 |
21K07856
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
矢田 弘史 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 科長・グループリーダークラス (30635785)
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研究分担者 |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50326328)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 血友病A / 第VIII因子 / 遺伝子 / F8遺伝子変異 / インヒビター |
研究開始時の研究の概要 |
血友病Aに対する現在の標準的止血治療はFVIII製剤の補充療法による。その結果FVIII同種抗体 (インヒビター)が出現すると、止血治療が困難となり重篤な出血症状をきたす。インヒビター発生機序の一つはFVIII遺伝子 (F8) 変異との関連が注目される。一方、血友病A保因者は、父方母方由来の二つのF8から生じ得る変異FVIIIと正常FVIIIが混在するため複雑な病態を呈し、重篤な出血症状を伴う場合がある。本研究では、①血友病A患者及び保因者のF8変異の同定と凝血学的特性の解析による詳細な病態解明を行い、③中等症・軽症患者のもつ変異FVIIIの特性を応用した新規個別化止血治療戦略の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は血友病A患者及び保因者を対象とし、① F8変異同定と全血凝固能やトロンビン生成能等の凝血学的特性の解析、②遺伝子型及び凝血学的特性に基づく病態とインヒビター発生機序解明、③個々の変異FVIIIに基づく新規個別化止血治療戦略の確立を目指す。
本年度は、血友病保因者および女性血友病患者を対象として凝固機能の解析を行った。16人の女性血友病患者または症候性保因者の全血凝固機能についてROTEMを用いて測定評価した。Ca添加による凝固能(NATEM)に加え、さらに組織因子(0.5pM)及び組織プラスミノーゲンアクティベータ(2nM)存在下で、線溶発現時間(LOT)、凝固開始から30、60分後の血餅硬度のMCFに対する割合(LI30、LI60)、血餅硬度が10%となるまでの時間(LT)を指標として線溶能について評価した。NATEMではCT:中央値1,398(四分位範囲1,129-1,851)秒、CFT:537(416-858)秒、α角:31(26-37)°、MCF:52(46-54)mmであり、その凝固能は軽症血友病相当であることが示された。一方、線溶能指標は、LOT:中央値 2,190(四分位範囲 1,831-2,457)秒、LI30:95.5(85.8-97.8)%、LI60:10.5(0.25-321.8)%、LT:3,605(2,885-3,767)秒であった。LOTが中央値以下のグループ1と中央値をこえるグループ2で比較すると、グループ1では、LI30:65.1±14.0(平均±標準誤差)%およびLI60:3.4±2.1%であり、その差は、グループ2におけるLI30:98±0.53%とLI60:41.4±12.8%との差に比べて大きく、線溶能の亢進が示唆され、血友病保因者の多様な凝固線溶能が見出された。本解析結果について、第45回日本血栓止血学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が研究を遂行するために新たな研究機関での実施体制準備の過程で、当該研究機関における研究機器・試薬導入にあたり、機器ベンダーの都合により当初想定外の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
対象者から得た試料を用いた凝固機能測定及び遺伝子解析を行い研究を進行する。in vitro調整試薬を用いた凝固機能測定と合わせて解析を進めていく。
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