研究課題/領域番号 |
21K07858
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
原 宗嗣 久留米大学, 医学部, 講師 (30389283)
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研究分担者 |
高橋 知之 久留米大学, 医学部, 准教授 (20332687)
弓削 康太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (20624472)
松石 豊次郎 久留米大学, 付置研究所, 客員教授 (60157237)
山下 裕史朗 久留米大学, 医学部, 教授 (90211630)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | レット症候群 / 心交感神経 / 自律神経機能障害 / 不整脈 / 分化転換 / 三次元画像再構築 / G欠損狂犬病ウイルストレーシング法 |
研究開始時の研究の概要 |
重度かつ進行性の神経発達障害であるRett症候群では、致死性不整脈や突然死を併存しやすい。その背景として自律神経機能障害が考えられているが、どう関与しているのかは不明である。そこで、心臓自律神経の「neurotransmitter switching (NTS)」現象に着目した。組織透明化、三次元画像再構築、G欠損狂犬病ウイルストレーシング法を用いた心交感神経節後繊維の組織学的な形態計測により、NTSの有無や心律動を調節する神経経路の解剖学的解析、関係する調節因子や神経伝達物質の同定、調節機構の解明を目指す。さらに、致死性不整脈の病態解明や新たな治療法の開発を目的としている。
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研究実績の概要 |
レット症候群は、主に女児が乳児期に発症する神経発達障害で、獲得した運動・言語機能の減損、手の常同運動、自閉的傾向、脳の発育遅延を特徴とする。また呼吸循環障害、睡眠覚醒リズム障害を併存し、中でもQT延長症候群などの致死性不整脈や突然死が問題となっており、その背景として自律神経機能障害が考えられている。本研究では、自律神経の「neurotransmitter switching(NTS)」現象に着目し、レット症候群モデルマウスの病態進行に伴う心臓自律神経の特性や神経経路の解剖学的解析によって、致死性不整脈における病態メカニズムの解明、新たな治療法の開発を目的としている。 本年度は、前年度に見出した心臓に走行している神経の染色に適した神経マーカー抗体を利用して免疫学的染色を実施し、MeCP2欠損マウスの心自律神経を組織学的に解析した。また、心臓における神経マーカーやサイトカイン、神経栄養因子の遺伝子発現データを収集し、統計学的解析を実施した。さらにNPY受容体阻害剤をMeCP2欠損マウスに投与してその延命効果や自律神経機能評価に関するデータ収集と解析を実施した。現在、心自律神経を司るニューロンによるレット症候群の不整脈に対する影響を検討する目的で、NPY受容体阻害剤や交感神経分化転換に関連した因子(BDNFなど)、自律神経調節薬をMeCP2欠損マウスに投与して、それらの物質が心不整脈に及ぼす影響を心電図や非接触型体表温度計測器を用いて定量的な生理機能評価を進めている。同時に交感神経の節後繊維である星状神経節の神経伝達物質の分布や割合について、免疫組織学的な画像データの収集と解析を鋭意進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経線維を染色する抗体の選別に時間を要した。副交感神経のマーキングが現時点では困難である。マウス星状神経節の摘出、凍結切片作成の安定性に問題があり、修正に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
レット症候群モデルマウスの星状神経節における自律神経関連の神経伝達物質や栄養因子等の発現状況や経時的変化を解析する予定である。テレメトリー式心電図解析装置を用いてMeCP2欠損マウスにおけるNPY受容体阻害剤や交感神経分化転換に関連した因子(BDNFなど)、自律神経調節薬による催不整脈性について定量的に解析を進めていく予定である。さらに免疫組織染色を実施し、組織透明化、顕微鏡観察、3D画像解析を駆使して、MeCP2欠損マウスにおける心自律神経を調節しているニューロンの分布や機能について評価を進めていく予定である。また上述の組織学的同定作業を確実にするために、Cre-LoxP系マウスを用いた組織特異的組み換え実験やG遺伝子欠損狂犬病ウイルスベクター(RVΔG)を利用した特定の投射ニューロンに対する逆行性標識を実施する予定となっている。
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