研究課題/領域番号 |
21K07881
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
川井 正信 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 骨発育疾患研究部門, 主任研究員 (50598117)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 概日リズム / 腸管生物時計 / グルコース / DOHaD / 生物時計 / BMAL1 / 腸管 / 糖代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
腸管生物時計は栄養素の吸収機構を制御し、その破綻はグルコースを含めた栄養素の吸収障害を引き起こす。一方、妊娠母体の生物時計の破綻は子宮内発育遅延と関連することが報告されている。子宮内発育遅延児は、胎児プログラミング機構を介して成人期の耐糖能異常と関係するため、妊娠母体の生物時計の破綻は出生児の成人期の耐糖能異常の原因になりうる。しかし、その詳細な分子機構は不明である。本研究では、腸管生物時計の破綻はグルコース吸収低下により低栄養の原因となり、妊娠中には胎児低栄養を介して、出生児の成人期の耐糖能異常の原因となるという仮説の検証を行う。
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研究実績の概要 |
概日時計は地球の自転に伴う環境のサイクルと体内のサイクルを同調させるシステムである。概日時計は種々の代謝恒常性維持制御に関わっている。新生児では、明暗の環境が破綻すると体重増加不良を呈する。概日時計の役割が、環境から摂取する栄養素を最大限効率的に代謝・利用することであることを考えると、これらの知見は、概日リズムの破綻により栄養素代謝障害を呈し、低栄養の原因となることを示唆する。実際、腸管生物時計の破綻(腸管特異的Bmal1欠損マウス)によりブドウ糖の吸収が低下することを筆者は見い出し、論文として2022年に報告した。 現在、本知見をDoHaD理論に発展させた研究を行っている。つまり、妊娠母体の概日時計の破綻は母体低栄養(グルコース吸収低下)の原因となり、その結果胎児プログラミング機構を介して子の成人期の耐糖能異常と関係するという仮説の検証を行っている。本研究では、腸管生物時計が破綻したマウスから出生した野生型出生仔とコントロールマウスから出生した野生型出生仔の体重変化・脂肪量変化・糖代謝異常の有無の解析を行った。2群間では体重増加に大きな差を認めなかったが、ブドウ糖負荷試験を行うと、腸管特異的Bmal1欠損マウスから出生した仔マウスでは、コントロールマウスから出生した仔マウスに比べ耐糖能が低下していることを見出した。この知見は、妊娠期の概日時計の破綻が、胎児プログラミング機構を介して、仔マウスの糖代謝異常の原因になることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸管特異的Bmal1欠損マウスの表現型を解析した論文を公開できたため。
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今後の研究の推進方策 |
概日時計とDOHaD仮説の機能連関解析を継続する。その仮説を検証するモデルを確立することができたため、概日時計の破綻による胎児プログラミング機構のメカニズムの解析を行う。インスリン負荷試験、インスリン負荷後のAKTシグナル解析(インスリン感受性臓器を用いて)を行い、腸管特異的Bmal1欠損マウスからの出生仔で耐糖能が低下に関わる耐糖能がインスリンシグナル、体組成などの評価を行い、メカニズムの解明を目指す。腸管特異的Bmal1欠損マウスから出生した仔マウスとコントロールマウスから出生した仔マウスにおける体重増加、脂肪蓄積の差異の検討を行っていく予定である。
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