研究課題/領域番号 |
21K07900
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
松浦 稔 杏林大学, 医学部, 准教授 (30402910)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 腸管微生物叢 / 免疫可塑性 / 微生物叢発達 / 腸管粘膜 / 遺伝子発現 / 移入 / 炎症性腸疾患 / dysbiosis / 糞便微生物移植 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が炎症性腸疾患(IBD)の病態に関連することが報告され、糞便微生物移植(FMT)が注目されている。しかし、クロストリジウム腸炎での高い奏効率とは対照的にIBDにおけるFMTの効果は限定的である。その理由としてIBDでは発症後のdysbiosisを改善しても背景にある宿主の免疫異常まで是正されない可能性が考えられている。本研究では宿主の健常な免疫発達には腸管微生物叢に曝露すべき適切な時期があると考え、IBD動物モデルを用いて異なる時期にFMTを行うことによる腸炎抑制効果、その特徴や規定因子を検討することでIBDにおけるFMTが抱える問題点の解決につなげる。
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研究実績の概要 |
無菌(GF)マウスにSPF由来の腸管微生物叢を移入し、移入4週間後におけるレシピエント(元無菌マウス:ex-GFマウス)の腸内細菌叢、腸管構造、免疫プロファイルを検討した。その結果、若年マウスには免疫発達の可塑性があり、さらに週齢相応の腸管微生物叢を選択、構築し、宿主の健常な免疫発達を可能にするメカニズムが存在する可能性が示唆された。そこで、幼少期に生着する腸内細菌叢の選択に関与して、週齢特異的な宿主側の因子について検討した。4週齢GFマウス(E群)と10週齢GFマウス(L群)における回腸粘膜と大腸粘膜の発現遺伝子についてmRNAマイクロアレイ解析(対象は22206遺伝子)を実施した。E群とL群は主成分分析によるプロット図において異なるクラスターを形成し、特に回腸粘膜で、週齢により異なる遺伝子発現パターンとなっていることが示された。さらに、回腸粘膜におけるE群とL群の比較で発現量比が2倍以上で有意に異なる遺伝子として、120遺伝子が抽出され、E群で優位に発現している遺伝子は66遺伝子、L群で優位に発現している遺伝子は54遺伝子であった。これらの遺伝子について、10週齢SPFマウスをドナーとして4週齢または10週齢GFマウスに腸管微生物叢を移入した際に生着した細菌構成との相関解析を行った。E群の回腸粘膜に優位に発現している遺伝子と強い正の相関関係を示す細菌属として、Lachnospiraceae NK4A136 group属、Roseburia属が同定された。これらの2細菌属は、4週齢SPFマウスにおいて最も高い占有割合を示す2細菌属であった。さらに、4週齢SPFマウスにおいて、10週齢SPFマウスよりも、有意に高い占有割合であった。これらの結果は現在、英文国際誌に投稿中である。
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