研究課題/領域番号 |
21K07925
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
仁科 惣治 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70550961)
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研究分担者 |
日野 啓輔 川崎医科大学, 医学部, 特任研究員 (80228741)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 解糖系阻害剤 / 腫瘍免疫 / 血管内皮細胞 / 2DG / ナノ粒子 / PLGA |
研究開始時の研究の概要 |
近年、がん細胞の代謝機構の特徴である解糖系亢進が腫瘍免疫逃避機構として注目されている。研究代表者らはグルコース誘導体:2-Deoxy-D-Glucose(2DG)を封入したpoly(lactic-co-glycolic acid)ナノ粒子製剤(2DG-PLGA-NP)を開発した。マウス実験結果において2DG-PLGA-NPによるがん特異的な解糖系阻害は、2DG投与で生じた有害事象もなくかつ強い抗腫瘍効果を認め、T細胞走化性亢進などの腫瘍免疫活性化作用を有することも明らかにした。本研究では2DG-PLGA-NP による更なる抗腫瘍免疫機構の解析を行い、生体試料中2DG含有量測定系の確立を行う。
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研究実績の概要 |
(1)2DG-PLGAナノ粒子(2DG-PLGA-NP)薬物動態解析の基盤確立 1.質量分析法を用いたマウス血漿中2DG濃度測定法確立: BALB/c-nu/nu に対して 2DG-PLGA-NP 80mg/kg、週1回尾静脈的投与を行った後に、質量分析法(LC/MS/MS)を用いて血漿中2DG-6リン酸濃度を測定した。2.2DG(原体)に対する2DG-PLGA-NPの腫瘍への薬剤(2DG)送達性における優位性評価:用量(2DGとして8mg/kg)及び用法(週1回尾静脈投与)が同条件下では、2DG(原体)群 と比べ 2DG-PLGA-NP 群で腫瘍内2DG-6-リン酸濃度が有意に高かった。 (2)がん微小環境での解糖系阻害による抗腫瘍免疫活性化機構の統括的評価 3.2DGは血管内皮細胞(EAhy)の細胞増殖を抑制した。 4.肝発癌モデルに対する2DG-PLGA-NPの効果についての検討:DEN誘発肝癌マウスの肝癌組織において、Control群および2DG(原体)投与群と比較して2DG-PLGA-NP投与群では CD11b+ Myeloid cell(M2 TAM/MDSCに発現)の浸潤が抑制されていた。 (3)がん細胞の乳酸産生に対する解糖系阻害剤(2DG)が“CD8+TcellのPD-1発現調節機構”に及ぼす影響評価 5. 肝癌細胞(Huh7)からのグルコース依存性乳酸産生量増加に対して、2DG は有意に抑制した。さらに、CD8+T cell の PD-1 mRNA発現は、グルコース濃度依存性に亢進したが、2DGの併用によりさらに亢進した。以上より、解糖系阻害剤(2DG)は肝癌細胞の乳酸産生抑制を介して“(乳酸による)CD8+TcellのPD-1発現抑制を解除”し、PD-1抗体に対する反応性を増強する可能性が示唆された。
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