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腸管外疾患治療に有効な有益菌由来分子の同定と作用機序解明に基づく新薬開発基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K07929
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分53010:消化器内科学関連
研究機関旭川医科大学

研究代表者

藤谷 幹浩  旭川医科大学, 医学部, 教授 (80322915)

研究分担者 嘉島 伸  旭川医科大学, 医学部, 助教 (10548655)
小西 弘晃  旭川医科大学, 医学部, 客員助教 (30777181)
澤田 康司  旭川医科大学, 医学部, 講師 (80548660)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
研究課題ステータス 交付 (2022年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード腸内細菌 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / アレルギー性皮膚炎 / プロバイオティクス
研究開始時の研究の概要

腸内細菌叢の異常が腸疾患のみならず腸管外疾患の発生・進展にも関与することが明らかになってきた。私はプロバイオティクスが分泌する活性分子を同定し腸管疾患の治療薬開発
へと応用する研究を行い、乳酸菌由来長鎖ポリリン酸が腸管バリア機能増強と単球の活性制御を介して腸炎を改善することを示し、さらに、難治性潰瘍性大腸炎患者を対象とした臨床試験にて長鎖ポリリン酸治療の高い有効性と安全性を証明した。本研究では独自で構築した腸管細胞―遠隔臓器細胞共培養系を用いて、腸管外疾患の改善作用を持つ菌由来分子を同定し機序を解明することで、新規腸管外疾患治療薬開発の基盤成果を得る。

研究実績の概要

(1)遠隔臓器の疾患に有効なプロバイオティクス由来活性分子の同定
2021年度はLactobacillus brevisの死菌による肝細胞の脂肪酸蓄積減少効果を証明し、この作用は腸管上皮から分泌される何らかの活性分子を介して発揮される可能性を示した。2022年度は、乳酸酸性菌由来分子による皮膚障害改善効果について検討した。腸管上皮細胞を上段に、ヒト表皮由来HacaT細胞あるいはマクロファージ様分化THP-1細胞を下段に培養したトランスウェルを作製した。このトランスウェルの上段に乳酸酸性菌由来分子Aを添加し、下段に炎症惹起分子を添加して、HacaT細胞およびマクロファージ様分化THP-1細胞の炎症関連分子発現を検討した。その結果、乳酸酸性菌由来分子A投与により、HacaT細胞およびマクロファージ様分化THP-1細胞の炎症関連分子発現が有意に減少した。また、上段に腸管上皮細胞を培養しなかった場合には、この効果は認められなかった。
(2)プロバイオティクス由来分子の標的腸管細胞への作用、遠隔臓器の障害改善機序
2021年度は高脂肪餌マウスモデルにてLactobacillus brevis死菌由来分子の経口投与が、肝細胞におけるインスリン感受性を変化させ、脂肪沈着を減少させる可能性を示した。2022年度は、乳酸酸性菌由来分子Aによる皮膚障害改善作用をin vivoで検討した。hapten 2,4 dinitrofluorobenzene (DNFB)をマウス皮膚に塗布しハプテン誘導皮膚障害マウスモデルを作成した。乳酸酸性菌由来分子Aを経口投与した結果、皮膚の肉眼的、組織学的障害は有意に改善した。また、皮膚における炎症関連分子の発現も有意に減少した。(1)の結果も含め、乳酸酸性菌由来分子Aによる皮膚障害改善効果は腸管上皮からのセカンドメッセンジャーを介して発揮される可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)遠隔臓器の疾患に有効なプロバイオティクス由来活性分子の同定
2021年度には、腸管上皮(上段)と肝細胞(下段)を培養したトランスウェルを用いて肝細胞の脂肪沈着を検討した。各種プロバイオティクスの培養上清および死菌混濁液を添加した結果、Lactobacillus brevisの死菌懸濁液によって肝細胞の脂肪沈着が有意に改善することを明らかにした。2022年度には、腸管上皮細胞を上段に、ヒト表皮由来HacaT細胞あるいはマクロファージ様分化THP-1細胞を下段に培養したトランスウェルを用いて皮膚障害改善効果を検討した。乳酸酸性菌由来分子を添加した結果、HacaT細胞およびマクロファージ様分化THP-1細胞の炎症関連分子発現が有意に減少することを明らかにした。以上の成果から、本研究事項は当初の予定通り進捗していると考えられる。
(2)プロバイオティクス由来分子の標的腸管細胞への作用、遠隔臓器の障害改善機序2021年度には、NAFLDのモデルである長期高脂肪食餌接種マウスに対して、Lactobacillus brevis死菌混入高脂肪餌を投与した結果、通常の高脂肪食よりも肝細胞の脂肪沈着が有意に減少すること、その機序にインスリン関連分子の発現変化が関与していることを明らかにした。2022年度には、ハプテン誘導皮膚障害マウスモデルを作成し、乳酸酸性菌由来分子Aを経口投与した結果、皮膚の肉眼的、組織学的障害は有意に改善すること、その機序には皮膚の炎症関連分子の発現の減少が関与することを明らかにした。この成果から、本研究項目は当初の予定通り進捗していると考えられる。

今後の研究の推進方策

これまで、トランスウエルを用いたin vitroモデルおよび疾患マウスモデルを用いて、乳酸酸性菌の死菌や菌由来分子による肝細胞脂肪蓄積抑制効果や皮膚障害改善効果を証明し、これらの作用は腸管上皮からのセカンドメッセンジャーを介して発揮される可能性を明らかにしてきた。これらの新しい知見をもとに、今後はこれらの腸管上皮セカンドメッセンジャーの同定や分泌機序の解明、標的となる遠隔細胞におけるセカンドメッセンジャーの認識機構と細胞内情報伝達系の同定などの作用機序解明を目指す。

報告書

(2件)
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Probiotic-derived heptelidic acid exerts antitumor effects on extraintestinal melanoma through glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase activity control2022

    • 著者名/発表者名
      Isozaki Shotaro、Konishi Hiroaki、Tanaka Hiroki、Yamamura Chikage、Moriichi Kentaro、Ogawa Naoki、Fujiya Mikihiro
    • 雑誌名

      BMC Microbiology

      巻: 22 号: 1 ページ: 110-110

    • DOI

      10.1186/s12866-022-02530-0

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 大腸癌に対するLactobacillus casei由来フェリクロームの抗腫瘍作用とメカニズム解析2022

    • 著者名/発表者名
      岩間琢哉、藤谷幹浩.
    • 学会等名
      第108回日本消化器病学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Heat-killed Lactobacillus brevis SBC8803は選択的インスリン抵抗性を改善させることでNAFLD病態を改善する2022

    • 著者名/発表者名
      林 秀美、澤田康司、藤谷幹浩
    • 学会等名
      第59回日本消化器免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2023-12-25  

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