研究課題/領域番号 |
21K07933
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡田 浩介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80757526)
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研究分担者 |
有泉 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (40277158)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 客員教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | NASH / p62 / autophagy / 脂肪酸代謝 / 臓器連関 / LC3 / lipophagy / 脂肪酸 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 肝硬変 / 肝癌 |
研究開始時の研究の概要 |
p62の脂肪酸代謝を介したNASH発症進展における役割を明らかにすることを目的として,①p62-KOマウスと野生型マウスの脂肪酸と中性脂肪のバランス変化を比較解析し,p62が全身の脂肪酸代謝の異常を介してNASH病態にどのように関与するか,②肝細胞,脂肪細胞または肝Kupffer細胞を含むマクロファージのみにp62を発現する組織細胞特異的p62遺伝子レスキューマウスを作製して,臓器組織別のp62がどのようにNASH病態に関与するか,③ヒトNASH臨床標本について,p62を中心とした免疫組織学的解析を行い,ヒトNASHの発症と進展においてp62がどのような役割を果たすか,を明らかにする.
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研究成果の概要 |
全身p62遺伝子欠失マウスに高脂肪食を摂餌させると重症NASHを発症する.臓器連関の視点から,肝細胞,脂肪細胞,肝Kupffer細胞を含むマクロファージにのみp62を発現させた組織細胞特異的p62遺伝子レスキューマウスに高脂肪食を摂餌し,この結果,NASH病態を比較解析した.肝細胞のp62発現のみがNASHの進展を抑制し,肝細胞のp62がNASHの防御に重要であることが明らかとなった.p62の発現の有無により,autophagy/lipophagyに関わる因子が変化し,また,p62を欠失した培養肝細胞では,脂肪酸の暴露に対して脆弱性を示し,p62が脂肪酸の処理に関与していることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は,頻度の高い生活習慣関連肝疾患であるが,致死的な肝硬変,肝癌へ進行し得る.しかし,その発症機序は完全には解明されておらず,NASH進行および肝癌発生を阻止するための薬物治療も確立していない.本研究は,肝細胞特異的なp62発現がNASHの進展を抑止することを見出した.これらの結果から肝細胞のp62がNASHに防御的な役割を果たすと考えられ,特に肝細胞のp62の発現が,肝脂肪化のみならず肝炎症線維化をもコントロールする可能性を示した.本研究はp62が新しいNASHの治療標的と成り得る可能性を示した点で,将来的なNASH治療開発のための意義が大きい.
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