研究課題/領域番号 |
21K07942
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 純平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80624593)
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研究分担者 |
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | BMP4 / LRIG1 / EGFR / 大腸がん / オルガノイド / 大腸癌 / BMP / MEK阻害 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
EGFR/MEK/ERKは大腸癌分子標的治療の中心となる重要なシグナル経路であるが、これらを標的とした治療の臨床的効果はまだ十分ではない。申請者らはこれまでに新しい癌オルガノイド培養系CTOS法を開発し、患者由来の癌細胞におけるシグナル経路の活性化、およびその患者間の多様性を検討してきた。その中で、BMP/SMAD経路とEGFR/MEK経路にこれまで報告のないクロストークが存在することを見出した。本申請の研究ではBMP/SMAD経路の活性化がEGFRシグナルを補助する機序の詳細と多様性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、大腸がんにおいてBMP/SMAD経路とEGFR/MEK経路にこれまで報告のないクロストークが存在する可能性を検証すべく、大腸がん患者由来オルガノイド培養系(CTOS法)を用いた検討を行っている。これまでに、約20症例から調製し培養したCTOSラインを用いて感受性アッセイを行ったところ、大腸がん症例の中に、BMP阻害によりEGFRタンパク量が著しく減少する症例群の存在をを確認した。免疫沈降法により検討したところ、EGFRはBMP阻害剤LDN193189処理により高度にユビキチン化されており、またタンパク分解酵素阻害剤の併用によりEGFRの減少が抑制されたことから、BMP阻害により分解が促進されることが明らかとなった。一方、BMP受容体とEGFRの直接的な会合の証拠は得られなかった。in vivoでの検討の結果、BMP阻害とMEK阻害剤の併用が効果的であるオルガノイド、および併用効果の見られないオルガノイドに層化することができた。併用効果がみられる群においては、BMP阻害によってERBBファミリーのnegative regulatorとして知られているLRIG1の発現が強く誘導される傾向を認めた。LRIG1のノックダウンにより、BMP阻害による増殖抑制が減弱したことから、LRIG1誘導がこの現象の機序の一つであると示唆された。また、BMP阻害によるLRIG1の誘導は、BMP阻害による増殖抑制と相関しており、BMP/MEK阻害剤併用療法の効果予測のツールになる可能性が考えられた。 これらの成果につき、現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
BMP阻害MEK阻害併用による大腸がん治療の可能性を示せただけでなく、その効果予測マーカーの開発に繋がる因子としてLRIG1の関与を発見した。治療法と効果予測マーカーの同時開発は、将来的に臨床試験をクリアできる可能性を高めるために重要な、しかし難しい課題である。今回、本研究のような治療法開発の早期の基礎研究の段階で効果予測法の手掛かりをつかめたことは、意義深い成果であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、BMP阻害剤による増殖抑制について、LRIG1以外の機序についても検討中である。いくつかのリガンドのオートクラインに多様性がある事が分かってきた。また、10ラインのオルガノイドに対してomicsの手法によりBMP阻害により変動する遺伝子解析を行ったデータをもとに、増殖抑制と相関する遺伝子群を抽出している。今後は、これらの因子が新たな機序となりうるかの検証を行っていく。
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