研究課題/領域番号 |
21K07970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 一晶 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (20329379)
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研究分担者 |
飯田 安保 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (10337173)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ヒト脂肪由来幹細胞 / 脂肪由来幹細胞付きシート / 肝硬変モデルラット / 肝線維化改善 / 脂肪幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
肝硬変は、種々の慢性肝疾患の「成れの果て」であり、現時点での根治療法は肝移植のみであるが、高侵襲、高コストかつドナー不足等の問題があるため、代替となる治療法の確立は喫緊の課題である。近年、皮下などにある脂肪組織から、様々な種類の細胞に分化できる幹細胞(脂肪幹細胞)を分離・培養することが可能となり、これを用いた臓器などを修復する治療法(再生医療)が注目されている。私達は動物実験において、特殊なシートの上で培養した脂肪幹細胞をシートごと硬変肝に貼付することにより、肝線維化が改善するのをすでに確認しているが、その詳細な機序は不明であるため、この研究での解明を目指す。
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研究実績の概要 |
最初に、ヒト患者(n=3)より提供された脂肪組織を組織培養用試料調整キット(Lipogems)を用いて無菌的に破砕、洗浄、濃縮しLipogems productを作成した。それらをポリ乳酸シート上で培養し、各患者由来の脂肪由来幹細胞(ADSC)を回収した。フローサイトメトリー法によりADSC特異的表面抗原群の発現を確認したところ、3株ともにADSCの性質を示していた。分化能を調べるために脂肪細胞分化培地で培養したところ、脂肪細胞分化能が高い株と低い株が存在した。このため、脂肪細胞分化能が高かったADSC株のみ選択し、ポリ乳酸シート上で1週間培養し、脂肪由来幹細胞付きシート(ADSCシート)を作成した。それらシートを、8 週間の四塩化炭素処理により作成した肝硬変モデルラットの肝臓表面に貼付し、貼付8週間後に肝臓を摘出した。肝組織切片を作成しアザン染色にて肝線維化の程度を解析した結果、未処理の肝臓と比較して線維化が改善されていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ADSCシート貼付により、肝硬変モデルラットの肝線維化が改善されることを明らかにできた一方で、貼付したADSCシートの枚数を増やしても、肝線維化の改善は平衡状態に達することが判明した。そこで、ラットから採血を行い血清生化学データを解析したところ、依然として、ADSCシートの貼付枚数とALTの改善程度には正の相関を認めた。上述の如く、本研究中に想定外の現象を認めたものの、このことにより、ADSCから分泌されるエクソソームや何らかのサイトカインが、MMP2などの線維化分解酵素ではなく、IL-6などの炎症抑制系のシグナルを誘導することにより、肝線維化を改善させる可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
ADSCシート貼付有りと無しの肝硬変モデルラットの肝臓を用いて、遺伝子発現にどのような変化が起こったのか、マイクロアレイと次世代シーケンサーを用いてmRNA発現変化を網羅的に解析していく。その際、線維化分解系よりも炎症抑制系のシグナルに重点を置いて解析を進める。
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