研究課題/領域番号 |
21K07972
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
土井 知光 産業医科大学, 医学部, 講師 (70437218)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 幹細胞 / βカテニン / p300 / CBP / タンパク質間相互作用 / 消化管上皮幹細胞 / βーcatenin / 組織幹細胞 / WNTシグナル / βーカテニン / ICG-001 |
研究開始時の研究の概要 |
幹細胞は各組織においてニッチと呼ばれる微小環境で維持されているが、腸管では陰窩底部に、胃粘膜では峡部に存在する。WNT/βカテニンは、ニッチにおける幹細胞の自己複製と非対称分裂制御において中心的な役割をしており、その制御異常は組織の再生不全や癌化につながる。これまでに申請者は、βカテニンの標的遺伝子がコアクチベーターCBP、p300によって決定されていることを明らかにした。本研究では、組織幹細胞分化におけるβカテニンとCBP/p300との複合体の局在、及び、その制御機構を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
古典的WNTシグナル伝達経路は、β-cateninを介して転写制御を行うことで、消化管幹細胞の維持、分化において中心的役割をしている。しかし、幹細胞から分化する過程でWNTシグナルの標的遺伝子が切り替わる仕組みは明らかになっていない。申請者はこれまでに、β-cateninと結合するコアクチベーターがCBPからp300にスイッチすることで、標的遺伝子が切り替わることを示した。そこで本研究ではさらに発展させ、(1)上皮幹細胞及び分化過程における、β-cateninコアクチベーターの切り替えの解析、(2)β-cateninコアクチベーター切り替えを誘導するタンパク質間相互作用阻害剤のスクリーニングと、その標的分子同定、そして(3)阻害剤の組織修復、癌幹細胞増殖への作用を明らかにすることで、消化管上皮幹細胞及び分化過程における異なるβ-catenin複合体の役割を明らかにする。 初年度、申請者はβ-cateninとコアクチベーターp300の複合体が核内に観察される細胞集積が、小腸上皮陰窩底部に認められることを明らかにした。昨年度は、化合物スクリーニングの指標細胞の選定を行った。当初、β-cateninとp300及びCBPのゲノム 上での結合領域の解析に用いた膵癌細胞株PANC-1を用いる予定であったが、β-cateninの誘導剤CHIR-99021やβ-cateninとCBPの結合阻害剤ICG-001を作用させた時の、分化状態に変化が無く、幹細胞能と分化応答の切り替えを制御する化合物のスクリーニングには適さないことがわかった。そこで、他の細胞株を検討した結果、腎癌細胞株Caki-1がCHIR-99021に応答して、近位尿細管分化マーカーであるL T Lレクチンの染色性を示すことを見出した。そこで本年度は、Caki-1細胞を用いて、化合物のスクリーニングを実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
用いる予定であった膵癌細胞株PANC-1では、β-cateninの誘導剤CHIR-99021やβ-cateninとCBPの結合阻害剤ICG-001を作用させた時の、分化状態に変化が無く、幹細胞能と分化応答の切り替えを制御する化合物のスクリーニングには適さないことがわかった。また、当初、阻害剤の効果をβ-cateninとp300の結合を指標にスクリーニングする予定であったが、結合を検出する近接ライゲーションアッセイを用いることが困難であった為、CHIR-99021によって分化マーカーを発現する腎癌細胞株Caki-1を用いてスクリーニングする事になった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、既に6859化合物の提供を受けており、Caki-1を用いて化合物のスクリーニングを行う。ヒット化合物に対して、分化能、幹細胞の増殖などに対する効果の検討を行う。更に、ヒット化合物をbiotin化することで、標的分子を同定し、幹細胞、癌細胞の分化に関わる因子の解明を目指す。
|