研究課題/領域番号 |
21K07981
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 信治 広島大学, 病院(医), 教授 (00260670)
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研究分担者 |
卜部 祐司 広島大学, 病院(医), 寄附講座准教授 (10648033)
岡 志郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30403538)
弓削 亮 広島大学, 病院(医), 講師 (70794791)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 大腸早期癌 / 側方発育型大腸腫瘍 / PIK3CA / PIKpathway / 大腸T1癌 / リンパ節転移 / 腫瘍内Heterogenity / 全エキソン解析 / マクロファージ / Hetoreginity / がんゲノム / 転移リスク |
研究開始時の研究の概要 |
大腸T1癌の内視鏡治療後のリンパ節(LN)転移高リスク症例の効果的な絞り込み方法は十分とはいえず,転移・浸潤に特異的な新たなバイオマーカーの同定が求められている。本研究では転移・浸潤に特異的な分子病理マーカーおよびゲノムバイオマーカーを同定し,精度の高いLN転移予測モデルを構築する。大腸T1癌の転移・浸潤のハイリスク群の同定とct-DNAを用いた大腸T1癌の転移再発の予測マーカーの構築について行う。これらの解析結果によって、見逃されていたLN転移症例の正確に拾い上げとover-surgeryに伴う患者のquality of lifeの低下を防ぐことが可能となり、医療費の適正化に貢献できる。
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研究実績の概要 |
研究目的を達成するため側方発育型大腸腫瘍 (laterally spreading tumor; LST)の発癌,浸潤過程でのゲノム変化の検討を行った。当院で加療された径20mm以上のLST結節混在型21病変 [男性9例(42.6%),tubular adenoma(TA)4例,Tis癌 13例,T1b癌 3例,T2癌 1例,平均腫瘍径37±11mm]。各症例の結節と辺縁より計73個の組織を全エキソン解析し,公共データベースを用いて病的変異を同定した。同一症例で結節部と辺縁部の遺伝子変異を対比し,腫瘍のクローン進化を検討した。遺伝子変異量(TMB)は2.79±1.51/Mbで,10を超えるTMB-Hは認めなかった。遺伝子変異数と病理所見を比較すると,全変異数では有意な差を認めなかったが,ドライバー変異数がTA, Tis癌, T1癌の順で有意に多かった。TA4例の結節では,クローン進化を認めなかったが,結節部がTis癌の13例は,p53経路の変異を2例(TP53 1例,ATM 1例),WNT/TGFB経路の変異を6例(FBXW7 3例,SMAD4 2例,ARID1A 1例),RTK/RAS/MAPK経路の変異を4例(KRAS 1例,NRAS 1例,APC 1例,EGFR 1例)に認めた。上記以外の経路の変異はMTOR 1例であった。3例の結節部にクローン進化を認めなかった。T1以深癌4例の結節部は,PIK経路の変異を3例(PIK3CA 2例,AKT1 1例),RTK/RAS/MAPK経路の変異を1例(ERBB4 1例)に認めた。またPIK経路の変異はT1以深癌以外で認めなかった。この結果,Tis癌の発生段階のゲノム変異で,最も頻度が高いのはWNT/ TGFβ経路であった。一方でPIK経路はT1以深癌の発生に関与する発癌経路である可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
早期癌の浸潤に関与する因子について絞り込むことができており,追試の解析も抽出ライブラリー作成までは終了している。さらに並行して動物実験も開始していることから順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
大腸T1癌とTis癌の追試のがんゲノム解析を行う。さらにマウスモデルを用いて今回同定された変異が有意なものか検証する。
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