研究課題/領域番号 |
21K08001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒川 憲 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40868999)
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研究分担者 |
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60777655)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 粘膜恒常性 / 粘膜再生 / 幹細胞 / 前駆細胞 / 杯細胞 / Wnt / Rspondin / Lgr / 消化管幹細胞 / Lgr4 / 炎症性腸疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の消化管幹細胞研究により、胚細胞系統の一部は幹細胞を支持し、粘膜障害に伴う幹細胞消失を契機として脱分化することが判明した。粘膜恒常性の維持に杯細胞系統が重要である可能性が示唆されるが、その機序には不明な点が多い。申請者らのグループは、杯細胞系統を含む内分泌系前駆細胞を標識するMist1-CreERTマウスを用い、内分泌系前駆細胞が粘膜障害下でWnt/Notch経路の活性化を介して脱分化し、幹細胞性や癌起源性を獲得することを最近報告した。本研究では、複数の遺伝子改変マウスと粘膜傷害モデルを組み合わせ、杯細胞系統の粘膜恒常性に果たす役割と機序、さらに炎症性腸疾患の発症や増悪との関連を解析する。
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研究実績の概要 |
近年の消化管幹細胞研究により、消化管杯細胞系統の一部は幹細胞を支持したり、粘膜障害に伴う幹細胞消失を契機として脱分化し、幹細胞性をもつことが示唆されている。本研究では、杯細胞系統の粘膜恒常性維持に対する役割や、粘膜障害時の杯細胞系統のWnt活性化と脱分化機構の解析を目的とした。 杯細胞の粘膜恒常性に対する役割に関しては、Tff3+杯細胞をアブレーション可能なTff3-dsRED-DTRマウスと種々のレポーターマウスを交配して解析を進めている。Tff3+杯細胞が消失すると、Lgr5+消化管上皮幹細胞からの子孫細胞供給が障害されることが示唆された。現在、免疫組織染色等により各消化管上皮構成細胞を解析し、杯細胞消失の粘膜恒常性に対する影響を検討中である。杯細胞消失後の幹細胞や前駆細胞をFACSで抽出し、杯細胞消失による遺伝子発現変化を解析中である。また、複数の粘膜傷害モデルでも同様の検討を行っており、特にTff3-dsRED-DTR; Tcf-EGFPマウスを用い、杯細胞内のWnt活性化の経時的変化の解析を進めている。 また、粘膜障害時にはRspondin3-Lgr4シグナルにより杯細胞自身も脱分化して粘膜再生に寄与する可能性が示唆されている。腸上皮でRspondin3を過剰発現可能なVillin-rtTA; tetO-Rspo3マウスと種々のレポーターマウスを交配して解析を進めている。腸上皮でRspondin3が増加すると、腸粘膜肥厚と陰窩増大を認め、Ki67+細胞が増加したが、主に前駆細胞に発現するRspondin3の受容体の一つであるLgr4を欠損すると、Rspondin3の過剰発現による変化が消失し、粘膜障害・再生時にはRspondin3-Lgr4シグナルを機転とした前駆細胞の脱分化の重要性が示唆された。現在Lgr4に着目して種々の遺伝子改変マウスを作成し、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
杯細胞系統の粘膜恒常性における役割、さらには粘膜障害時のWnt活性化と脱分化機構について解析を進めている。Tff3-dsRED-DTR; Lgr5-CreERT; R26-TdTomatoマウスを新規に作成し、Tff3+杯細胞をアブレーションした上で細胞系譜解析を行うと、Lgr5+消化管上皮幹細胞からの子孫細胞供給の減少を認めた。現在、複数の粘膜傷害モデルを用い、様々なタイムコースで消化管上皮構成細胞の免疫染色等を行い、杯細胞消失の粘膜恒常性に対する影響、ならびに粘膜障害や再生に対する影響について解析を進めている。さらに、Tff3-dsRED-DTR; Mist1-CreERT; R26-TdTomatoマウスを作成中であり、杯細胞消失時のMist1+分泌系前駆細胞の細胞系譜解析を予定している。 杯細胞系統は幹細胞の支持に加え、粘膜障害時には自身も脱分化して粘膜再生に寄与する。Rspondin3は粘膜障害時に陰窩で増加するが、Villin-rtTA; tetO-Rspo3マウスを新規に作成して腸上皮でRspondin3を過剰発現させると、腸粘膜肥厚と陰窩増大を認め、Ki67+細胞の増加を認めた。一方でLgr5-CreERT; R26-TdTomatoマウスと交配して細胞系譜解析を行うと、幹細胞からの分化は寧ろ抑制されており、前駆細胞の増加や分化が生じている可能性が示唆された。特にMist1+分泌系前駆細胞に着目しており、Mist1-CreERT; R26-TdTomatoマウスと交配し、細胞系譜解析予定である。また、主に前駆細胞に発現するRspondin3の受容体の一つであるLgr4を消化管上皮で欠損させると、Rspondin3の過剰発現による変化が消失し、粘膜障害・再生時にはRspondin3-Lgr4シグナルを機転とした前駆細胞の脱分化が重要である可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
Tff3+杯細胞を消失したマウスで経時的に免疫組織染色等により消化管上皮構成細胞の変化を解析し、杯細胞消失の粘膜恒常性に対する影響の解析を進めている。特にMist1+分泌系前駆細胞に着目し、Tff3-dsRED-DTR; Mist1-CreERT; R26-TdTomatoマウスを作成し、杯細胞消失状態での細胞系譜解析を予定している。また、複数の粘膜傷害モデルを用い、杯細胞消失の粘膜障害や再生に対する影響の解析を進めている。さらに杯細胞消失後の幹細胞や前駆細胞をFACSで抽出し、杯細胞消失による遺伝子発現変化を解析中である。また、Tff3-dsRED-DTR; Tcf-EGFPマウスを用い、複数の粘膜傷害モデルにおいて杯細胞内のWnt活性化を経時的モニタリングし、Tcf-EGFPの発現状態に応じてTFF3陽性細胞を層別化してFACSで抽出し、各群の遺伝子発現解析を行う。 粘膜障害や再生時の前駆細胞におけるRspondin3-Lgr4シグナルの重要性に関しては、Villin-rtTA; tetO-Rspo3マウスを用いて経時的に免疫組織染色等を行い、Rspondin3増加による腸上皮構成細胞の影響の解析を進めている。Villin-rtTA; tetO-Rspo3; Mist1-CreERT; R26-TdTomatoマウスを作成し、Rspondin3が増加した状態でMist1+分泌系前駆細胞の細胞系譜解析を予定している。また、主に消化管前駆細胞に発現するRspondin 受容体の一つであるLgr4を欠損すると、Rspondin3の増加による粘膜変化が消失したため、現在Villin-Cre; Lgr4-flox/flox; R26-TdTomatoマウスやMist1-CreERT; Lgr4-flox/flox; R26-TdTomatoマウス等を新規に作成し、解析を進めている。
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