研究課題
基盤研究(C)
進行肝がん症例においては、分子標的治療薬に加えて、2020年9月より免疫チェックポイント阻害剤と分子標的治療薬の併用療法が本邦において保険適応となりましたが、有効例と無効例が明確に存在し、いまだ十分な予後改善効果が得られておらず、新規治療法の開発は依然として望まれている。本研究においては、肝硬変合併肝がん患者におけるSiglec受容体を介した免疫抑制機構が新規創薬の標的になるかを検討する。
近年分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の開発が進み、進行肝がん患者の予後は改善されつつあるが、まだ十分な治療効果とは言えない。肝がんによる免疫抑制は多重的であり、未知の免疫抑制系の存在が示唆される。ナチュラルキラー(NK)細胞は抗腫瘍・抗線維化免疫において重要な役割を果たすが、慢性肝炎/肝硬変・肝がん患者においてはその機能が低下している.NK細胞機能は複数の活性型・抑制型受容体の発現パターンにより制御される.慢性肝炎/肝硬変・肝がん患者においては、NK細胞頻度に差を認めなかったが、抑制型受容体ILT2、細胞傷害活性、ADCC活性低下を認めた.ILT2陽性CD56dimNK細胞では、ILT2陰性CD56dimNK細胞と比較して細胞傷害活性・ADCC活性ともに低下を認め、ILT2のブロッキングにより機能回復をきたした。肝がん細胞株とILT2陰性NK細胞の共培養により、ILT2発現誘導が生じ、非接触共培養においても同様であったことから、肝がん細胞が産生する液性因子によってILT2の発現誘導が生じていると考えられた。網羅的液性因子の解析と添加培養実験によりFACTOR XがILT2誘導原因因子であることを同定した。
2: おおむね順調に進展している
臨床検体の収集は予定通りに行われており、血清・膜型因子ともに解析が進んている。
ICI治療肝がん患者における治療効果とNK細胞を含む免疫細胞表面マーカー発現との関連を検討する。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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