研究課題/領域番号 |
21K08027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮下 洋平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (60816312)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ゲノムワイド関連解析 / ポリジェニックリスク / 突然死 / ゲノムデータ / クオリティチェック / EDCシステムへの登録 / 法医解剖 / ゲノム / PolygenicRiskScore |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は心臓突然死を引き起こす遺伝学的、また環境要因の同定を目的とする。 解剖・各種検査所見(Phenotype)と遺伝学的検査結果である遺伝子変異(Genotype)の関連についてPolygenic Risk Score(PRS)を用いて統計学的解析・評価を行う。まず、どのような遺伝子変異の組み合わせがどの程度突然死死亡機序に関連しているか解析を行う。次にその遺伝子変異と解剖・検査所見と関連について検討し、「多因子疾患」としての突然死病態の一端を解明を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は当初の研究計画に従い、ゲノムワイド関連解析のパイプラインの構築を完了した。ゲノムワイド関連解析を実施する場合、疾患群および対照群のアレイ・シーケンスデータについて、使用しているシーケンサーなどによるSNPコールの特性の偏りを防ぐためQC(QualityCheck)のステップが重要である。本解析においても以下のQCを実施した。①サンプル毎にcall proportionが98%より低いサンプルはデータの信頼性が低いため除外した、②ヘテロ接合性の割合が高いサンプルはコンタミネーションの可能性が高いため除外した、③事前情報から得ている性別とゲノム情報から推定される性別が一致しないサンプルについてはゲノムデータによる性別を用いて補正・補完を行った、④遺伝子型一致率が高いサンプルは同一人物・同胞である可能性も排除できないので一人のみ残す方針とした、⑤近交係数F が著しく高いサンプルは同胞もしくは親族等である可能性があり結果のぶれにつながるため除外した、⑥構造化解析から日本人以外と考えられるサンプルは病態の差ではなく人種の差をとらえてしまう可能性があるため除外した、上記①~⑥のQCを行ったサンプルについて関連解析を行うための準備を完了した。続けて関連解析を行う際に突然死のように対象患者が少なく、対照群と極端なサンプル数の差がみられる場合は、通常のロジスティック回帰分析ではαエラーが高くなり、正確なP値を計算できないと考えられ、一般化線形混合モデルを用いる方法が適切である。そこで上記の遺伝統計学的解析を行うためのパイプライン構築を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の想定通り、データのQCステップを完了することが出来た。またそのステップについてパイプライン化を行い、次回以降、同様の解析を行う際に迅速に実行可能な環境整備も完了した。突然死に至る心疾患、不整脈症例等の解析対象疾患症例の蓄積についても当初の予定どおりもしくは当初の想定を上回っており精度の高い解析実行が可能な環境となっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究の最終年度であり、本年度開発した関連解析パイプラインの実行による突然死のリスクとなるSNPを検出すること、またそれによるポリジェニックリスクを算出することを目指す。具体的にはPRSはBayes統計解析を基礎とし、予測モデルの構築を行い疾患群のリスクスコアを算出する。本年度に行われたQCによるクレンジングされたデータをインプットとして、①集団内の遺伝的連鎖不均衡の算出、②β分布におけるShrinkage推定によるOdds比推定バイアスの補正、③上記ゲノムワイド関連解析の有意水準再調整を行い、対象変異の確定と重みづけを行う。これによりゲノムワイド関連解析で得られた遺伝子バリアント群が、病態とどのように関連しているか心臓突然死病態の発生に寄与する程度について評価を行う。 上記の解析を通じて得られた成果については関連学会等で報告の上、論文による報告も行う。
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