研究課題/領域番号 |
21K08034
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
川添 晋 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (00810201)
|
研究分担者 |
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | AI / 予測モデル / 健診データ |
研究開始時の研究の概要 |
超少子高齢化社会への突入と医療の高度化・高額化に伴い、わが国の医療財政は逼迫しており、疾患の予防および早期発見による医療費の抑制が急務となっている。我々は、統計学的手法を用いて日本人における心血管リスクの知見を報告してきた。しかし、統計手法は網羅的、複合的分析に弱いこと、結果を個人のリスク評価に適用することが難しいことなどの限界があった。本研究では43年間にわたる70万人の健診データをもとにして、個人単位での疾患の早期発見・早期治療に役立つ心血管疾患発症予測の人工知能(AI)モデルを構築・実装する。健康寿命の延伸と医療費の抑制を実証し、世界に先駆けた新たな医療モデルを実現する。
|
研究実績の概要 |
健診データの可視化とAI適用への前処理を順次行ってきた。具体的には、データエラーやノイズ、欠損値に対する補完やクレンジング、既存の統計学的解析手法によるデータ傾向の調査、データの変換(正規化、汎化など)を実施し、AI解析の実施に耐えうるデータへの整形、リスク因子の年次変動を加味した変数の合成などを順次行ってきた。続いて、LAMPおよび複数の機械学習モデルの作成を行った。統計的に有意な相互因子を発見可能なLAMPを適用し、ハイパーパラメータのチューニングを行い、機械学習モデルを適用(ランダムフォレスト、XGBoosting、ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン、他)を行った。アウトカムとして現時点では高血圧、慢性腎臓病、メタボリックシンドローム、動脈硬化(baPWV高値)について検討を行っている。ズーム等の遠隔システムを利用して、研究協力者であるヒューマノーム研究所の瀬々氏、寺田氏と連携しながら、上記結果の比較による予測精度の検証を行い、医学的な見地からの解釈を検討するために、データの確認、特徴量選択の適正化、アルゴリズムの確認などについて検討を繰り返している段階である。臨床的に実装可能な状態を目指す作業を行っている。また、研究成果について発表可能な段階にきていると思われる内容については国内外の複数の学会で成果の発表を行い、全国の機械学習に関心をもつ有志との勉強会等においてもブラッシュアップをはかっている。また論文化の準備も進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鹿児島厚生連病院の健康診断データを用いて、まずは高血圧発症についての予測モデルを作成している。作成は研究協力者であるヒューマノーム研究所の瀬々氏、寺田氏の両氏と共同で行っている。現時点では、単年度、および2年連続のデータを用いて5年後の発症を予測するモデルを、複数の機械学習アルゴリズム(ランダムフォレスト、XGBoost、ロジスティック回帰、ニューラルネットワークなど)を用いて構築し、AUCにして0.85~0.92程度の識別精度が達成されている。特徴量エンジニアリングおよびハイパーパラメータのチューニングによりさらに識別能の向上をはかっているところである。さらに、慢性腎臓病、動脈硬化(動脈スティフネス上昇、頸動脈プラーク)についても同様の予測モデルを構築を進めているところである。 上記の研究成果の一部については、すでに国内外の学会にて発表済みであり(日本心臓病学会、日本循環器学会、アメリカ心臓病学会、ヨーロッパ心臓病学会、日本疫学会など)、並行して論文化も進めているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
複数の機械学習モデルについて、予測精度の比較・検証を引き続き行う。医学的な見地からの解釈を検討し、臨床的に実装可能な状態を目指す。 機械学習予測モデルが完成し次第、実装に向けての独立コホートを用いた検証を予定している。鹿児島県内の他の大規模健診センターデータへの適用、垂水市コホート研究への適用と精度検証を予定している。短期的には疾患予測モデルによる疾患発症率の提示による受診者満足度調査を行い、長期的には実装により疾患予防が実現した場合の医療費削減効果を調査する方向で検討している。 また、研究成果について発表可能なものについては順次国内外での学会発表を行い、論文化の準備も逐次進めていく。
|