研究課題/領域番号 |
21K08048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀧本 英樹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20709513)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | R G S2 / cGMP-PKGシグナル / 線維芽細胞 / 左室拡大 / 心筋細胞 / RGS2 / 心不全 / サイクリックGMP |
研究開始時の研究の概要 |
cGMPシグナル活性化薬は心収縮力が低下した心不全(HFrEF)の治療薬として確立されつつある。一方、拡張不全(HFpEF)では女性でのみ有効性が示された。 HFpEF心臓では炎症、酸化ストレスが亢進することにより、線維化が誘導されて拡張機能の低下につながる。線維化に重要な役割を果たすものは線維芽細胞であるが、cGMP-PKG経路による線維芽細胞の調節については、これまで明らかにされていない。本研究ではcGMPシグナルの重要な標的分子であるRGS2に注目して、抗心不全作用のメカニズムを線維芽細胞、心筋細胞、その相互連関を含めて解明する。
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研究実績の概要 |
Regulator of G protein signaling 2 (RGS2) は、cGMP-PKGシグナルを介したリン酸化によって活性化され、主にGqシグナルを抑制し、心保護作用を示すこと研究代表者は以前に報告した。しかしながら、このRGS2の心保護作用が各細胞種においてどのように機能するかは未解明である。 研究代表者はcre-loxpシステムを用いて独自に心筋細胞特異的RGS2欠損マウス(cKO)および線維芽細胞特異的RGS2欠損マウス(fKO)を作成した。さらに、これらのマウスモデルに圧負荷(PO)を加え、HFrEFモデルを構築した上で、sGC刺激薬を投与しNP-cGMP-PKGシグナルを活性化させ、圧容量曲線解析による表現系分析を行った。 cKOマウスに圧負荷を加えると、著明な心肥大および左室拡大および心機能低下が認められた。興味深いことにcKO-PO群にsGC刺激薬(治療群)を投与した場合、心機能の改善は得られなかったが、左室のサイズは著しく縮小した。一方で、fKO-PO群でも心肥大・心拡大・心収縮能の低下が認められたが、cKO-POと比較するとその表現系は弱く、sGC刺激薬の投与による左室サイズの変化は認められなかった。これらの結果から、心筋細胞におけるRGS2が心機能に強く関与しており、線維芽細胞のRGS2が左室拡大と関連していると推測された。さらに、cKO-PO群およびcKO-治療群の心臓から心筋細胞と線維芽細胞を単離し、RNAseqを行ったところ、線維芽細胞の治療群およびPO群間で有意に発現の異なる遺伝子を複数同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋細胞特異的および線維芽細胞と好意的RGS2欠損マウスおよびの実験により、心不全における心室拡大に線維芽細胞RGS2が関連しており、心収縮能低下に心筋細胞RGS2が関連していることが判明した。特に心室拡大のメカニズムについてはこれまで不明な点も多かったが、心筋細胞・線維芽細胞を用いたRNAseqによって心室拡大と関連が予想される数種類の遺伝子を同定することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroにおいて薬理的および遺伝子工学的手法を用いた実験を行い、同定された遺伝子がどのように心室拡大と関連しているかを探索する。その後、強い関連が予想されたものについては、siRNAや遺伝子改変マウスを用いたin vivo実験を行い、心拡大におけるさらに詳細なメカニズム解析を目指す。また同定した遺伝子と関連して、ナトリウム利尿ペプチドや性差と関連した実験を行い、R G S2と関連した包括的な心不全メカニズムの解明を試みる。
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