研究課題/領域番号 |
21K08074
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 牧子 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (80860262)
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研究分担者 |
今村 輝彦 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (80746652)
絹川 弘一郎 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00345216)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 後天性フォンビルブランド症候群 / 機械的補助循環 / 心原性ショック / 血管新生 / 右心不全 / 重症心不全 / 消化管出血 |
研究開始時の研究の概要 |
血管構造の安定化と血管新生にTie2-アンジオポエチンシステムが関与しており, 連続流型補助人工心臓装着患者においてアンジオポエチン2の上昇と消化管出血発症との関連が, 海外研究より報告されています。またアンジオポエチン2は心不全増悪で上昇し, 心不全の予後予測マーカーとしても報告されています。 本研究では連続流型補助人工心臓患者を含む重症心不全患者における消化管出血発症のメカニズムとアンジオポエチン2との関連を明らかにすることが目的です。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、重症心不全患者、特に補助人工心臓患者(LVAD)における消化管出血発生のメカニズムとアンジオポエチン2の関係を明らかにすることです。 2022年度は経皮的LVADであるIMPELLA補助を受けた患者を対象に、アンジオポエチン2と消化管出血および30日予後について調査しました。IMPELLA開始後のアンジオポエチン2高値は有意に30日死亡と関連がありましたが、消化管出血発症との有意な関連はありませんでした。 また植込型LVAD患者においてもアンジオポエチン2を測定しましたが、消化管出血を2回発症した例で、出血イベントの際アンジオポエチン2は上昇しておらず、他の植込型LVAD患者において右心不全を有する例や感染症の併発例でアンジオポエチン2は高値で推移しており、これらの症例で消化管出血の発症はありませんでした。 2023年度はFontan術後の小児患者において、他の開心術例よりアンジオポエチン2が上昇しており、またFontan術後例の中でも低酸素が高度な例ほどアンジオポエチン2の上昇がみられ、アンジオポエチン2高値例では死亡やFontan循環に関連したイベントの発生が有意に多いことがわかりました。またCTEPH患者においてBPA後にほぼ全例でアンジオポエチン2は低下することがわかりました。 以上より、重症心不全(特に右心不全や低酸素血症の強い例)ではアンジオポエチン2が上昇しており、死亡や多臓器障害のサロゲートマーカーとなりえるものの、消化管出血イベントの発生自体は、アンジオポエチン2のみならず、患者の年齢や血管性状、抗血栓薬の服用など患者要因も寄与することが考えられました。2023年より完全磁気浮上型遠心ポンプであるHeartMate3が植込型LVADの主流となり、従来の軸流ポンプであるHeartMateIIより消化管出血の発生率低下が報告されています。LVAD患者におけるアンジオポエチン2と消化管出血を含む有害事象との関係について、引き続き探索できれば考えています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予想とは違う結果でありますが、調査・研究対象を広げることで、少しずつアンジオポエチン2上昇と臨床背景、予後との関係について、知見が蓄積されてきているため。
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今後の研究の推進方策 |
消化管出血が明らかに少ないことが報告されている植込型補助人工心臓であるHeartMate3を植込みされた患者においてアンジオポエチン2を測定し、前機種(軸流ポンプであるHeartMateII LVAD)挿入患者と比してアンジオポエチン2の値も低いかどうかを確認し、消化管出血の発生と機械的補助循環との関係、アンジオポエチン2上昇とのメカニズムについて、さらに知見を深めたい。
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