研究課題/領域番号 |
21K08084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
尾上 健児 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90510173)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 心不全 / たこつぼ症候群 / 交感神経シグナル / 発症メカニズム / βアドレナリン受容体 / 新規治療ターゲット |
研究開始時の研究の概要 |
我が国において心不全患者数は増加の一途にあり、より効果的な治療法を探索することが喫緊の課題となっている。たこつぼ症候群(TTS)は一過性の心収縮能低下を特徴とする疾患群で、急性心不全の原因の一つである。カテコラミン毒性による交感神経系障害が有力な発症機序と考えられている。我々はTTS急性期の患者組織を用いて、交感神経系シグナル制御因子発現亢進が発症に関与していることを示した。本研究ではこの知見に基づきTTSモデルマウスを作製し、発症機序をより詳細に解析、検討し、新規治療ターゲットを探究することを目的とし、最終的には心不全全般の治療にも応用可能な病態に即した心不全マネージメント法を検討する。
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研究実績の概要 |
超高齢社会を迎える我が国において、全ての心疾患の終末的病態である心不全患者数は増加の一途にあり、心不全の病態評価や予後予測とともにより効果的な治療法を探索することが喫緊の課題となっている。心不全患者では交感神経活性が亢進しており、カテコラミン濃度が高い患者ほど予後不良であるため交感神経活性が予後規定因子とされる。すなわち交感神経系シグナルの調整が新たな心不全マネージメント法となり得る。 交感神経活性が強く関与する疾患として、急性心不全で発症するたこつぼ症候群(TTS)がある。TTSは一過性の心収縮能低下を特徴とする疾患群で、閉経後の高齢女性に好発し、身体的・精神的ストレスを背景として急性冠症候群に類似した症状で突然発症する。その機序については多枝冠動脈攣縮説、急性冠微小循環障害説、急性カテコラミン毒性説などが考えられている。このうちカテコラミン毒性による心臓交感神経系障害およびそれに引き続く心筋収縮不全は、最も有力な発症機序と考えられているが、実際の症例においてこれら交感神経系の障害・関与を直接証明した研究はなく、病因論も確立されていなかった。 我々はTTS発症急性期の心筋生検組織を用いて、交感神経系シグナル制御因子であるGRK2やβアレスチン2の発現がTTS患者心筋で亢進するとともに、これら分子が細胞膜に移行し、β受容体の脱感作を起こしている可能性を示唆する所見を観察し発表した(Scientific Report 8:12731, 2018)。 本研究ではこれらの知見に基づき、TTSモデルマウスを作製し、それを用いてTTS発症機序をより詳細に解析する。また薬剤による交感神経系シグナルの調整機構も検討を行う。最終的にはTTSのみならず、心不全全般の治療にも応用可能な病態に即した心不全マネージメント法を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、我々がヒト臨床検体を用いてTTSの病態に関与することを明らかにしたGRK2やβアレスチン2等のTTS関連分子の心筋細胞における発現調整マウスを作製して、カテコラミン刺激によるβアドレナリン受容体シグナル関連分子の動態におよぼす影響を、解析する計画である。 これまでに、困難とされてきたTTSモデルマウスの作製に成功し、AAVベクターを用いてGRK2をマウス心筋で高発現させるTransgenic (TG)モデル作製にも成功している。野生型マウスおよびGRK2-TGマウスに対するカテコラミン投与を行い、TTS発症の変化について観察を終えている。現在、その機序について検討中であり、中間段階での進捗は概ね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
第3年度は、野生型マウスおよびGRK2-TGマウスのTTS発症条件の違いを検証するため、その分子メカニズムをRNA発現、蛋白発現解析、免疫染色などを通じて解析を行う。また、TTS発症に及ぼす薬剤の影響を検証し、TTSの治療方法に関しても検討を行う。 これらの研究により、最終的にはTTSのみならず、心不全全般の治療にも応用可能な病態に即した心不全マネージメント法を検討したい。
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