研究課題/領域番号 |
21K08108
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中村 一文 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10335630)
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研究分担者 |
鵜殿 平一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50260659)
片野坂 友紀 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (60432639)
赤木 達 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60601127)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 肺高血圧症 / TRPV2 / 肺血管リモデリング / 肺動脈平滑筋細胞 / メカノセンサー / ストレッチ / 低酸素性肺血管攣縮 / Ca2+応答 / 低酸素症 / 血管平滑筋特異的TRPV2欠損マウス / IGFBP3 / MTTアッセイ / 肺動脈性肺高血圧症 / 心血管メカノセンサー |
研究開始時の研究の概要 |
低酸素性肺血管攣縮とその後ひきおこされる肺血管リモデリングによる肺動脈性肺高血圧症発症の機序はよく分かっていない。慢性閉塞性肺疾患(COPD)・間質性肺疾患などの肺疾患における肺高血圧症・右心不全の原因の一つと考えられており、その現象の機序の解明とそれをターゲットとした治療の開発が望まれている。本研究では「血管平滑筋において伸展等により活性化される心血管メカノセンサー(機械受容体)分子である TRPV2 が低酸素誘発性肺高血圧症に関与し、その制御が治療につながるのではないか?」と考え検討を行うこととした。
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研究実績の概要 |
持続的な低酸素症は肺血管収縮を引き起こし、肺血管リモデリングや肺高血圧症(PH)の原因となる。しかし、血管収縮が血管リモデリングにつながる正確なメカニズムはまだ解明されていない。TRPV2は、Ca2+透過性カチオンチャネルであり、血管平滑筋の膜伸張に応答するメカノセンサーである。本研究の目的は、低酸素誘発性PHの発症における血管平滑筋のTRPV2の役割を明らかにすることである。 肺動脈平滑筋細胞においてTRPV2が欠損している血管平滑筋特異的 TRPV2 欠損マウスを作製した。血管平滑筋特異的TRPV2欠損マウスとコントロールマウスの肺動脈を摘出し、マグヌスにて低酸素性肺血管攣縮を観測した。TRPV2欠損マウスにおける低酸素性肺血管収縮は、コントロールマウスと比較して有意に減少していた。TRPV2欠損マウスとコントロールマウスの肺動脈から肺動脈平滑筋細胞を単離し、細胞伸張 (ストレッチ) 刺激および低浸透圧刺激に対するCa2+応答を観察した。血管平滑筋特異的TRPV2欠損マウスでは細胞ストレッチおよび低浸透圧刺激に対するCa2+応答が減弱していた。この結果はTRPV2が肺動脈においてメカノセンサーとして働くことを示している。次にTRPV2欠損マウスとコントロールマウスを低酸素下に5週間飼育し、肺高血圧症の程度を観察した。TRPV2欠損マウスでは右室収縮期圧がコントロールマウスに比べ有意に減少し、右室の重量も有意に低く、肺動脈の筋肉化も減少していた。すなわちTRPV2欠損マウスでは低酸素誘発性肺高血圧症がコントロールに比べ改善していた。さらに肺動脈平滑筋細胞を分離培養して調べたところ、TRPV2欠損マウスの低酸素誘発性細胞増殖は、コントロールマウスの増殖と比較して有意に減少していた。 これらの結果より、TRPV2は低酸素誘発性肺高血圧症の発症に重要な働きをすることがわかった。
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