研究課題/領域番号 |
21K08143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小倉 正恒 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (30532486)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | HDL機能 / コレステロール搬出能 / 抗酸化能 / フォスフォリパーゼ / 動脈硬化 / 家族性高コレステロール血症 / リン脂質 / ホスフォリパーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患は麻痺・寝たきり・認知症・心不全などの原因となり、健康寿命を短縮させるため、その予防は重要課題です。悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを低下させても動脈硬化性疾患のリスクはゼロにならないため、善玉コレステロールと考えられてきたHDL-Cを増加させる戦略が考えられてきました。しかし、HDLコレステロールを増やしても心血管イベントは減らないことが報告され、HDLの研究は量から質にシフトしています。本研究計画ではHDLの質の悪化と動脈硬化の重症化に共通する特定の物質を明らかにし、その阻害薬を開発するための基盤研究です。
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研究実績の概要 |
分泌型フォスフォリパーゼA2(sPLA2)-Vは、HDL粒子サイズを小型化しコレステロール搬出能(cholesterol efflux capacity: CEC)を低下させる鍵分子である可能性が予備検討で示されていたため、ELISAキットを5セット(1セット当たりN=40)購入し、残余血漿で活性を測定した。しかし、検量線の作成段階で不良な検出値が得られ、同一ロットの5セットすべてで正確な測定ができていないと考えられた。製造販売メーカーに問い合わせたが明快な解決策や代替品の提供は行われなかったため、現在、他のsPLA2-V測定法を検索している。 熊本大学との共同研究で一般住民の飲酒習慣とアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)遺伝子多型がCECに及ぼす影響について検討したところ、アルコール摂取量に伴いHDLコレステロール値は増加するが、CECはHDLコレステロール値と関連を示さなかった。多変量解析の結果、アルコールを代謝できるALDH2*1の多型を有する者でも大量飲酒(純エタノール量>46 g/day)ではむしろCECが低下すること、アルコールの代謝が弱いALDH2*2の多型を有する者では過量でない23 g/day以上の飲酒においてCECが低下することがわかり、論文発表した。その機序としては、大量飲酒またはアセトアルデヒドの代謝遅延がHDL粒子上のCECにかかわる分子を酸化修飾している可能性などを考えた。 大量飲酒者においてはHDL粒子サイズが大きいことが報告されており、昨年得られたHDL粒子サイズとCECの関連が必ずしもthe larger, the betterではないという結果を支持するものであった。 現在までのHDL機能研究に対して日本臨床化学会から学会賞(学術賞)を授与された。また日本薬学会からHDL機能に関する英文総説を依頼され、発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
sPLA2-VのELISAキットの不具合により予備検討結果の検証が遅れている。一方でHDL粒子サイズとCEC、抗酸化能とCECの関連について新たな発見があった。
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今後の研究の推進方策 |
別メーカーもしくは共同研究において各種sPLA2の測定を実施する。sPLA2測定系の確保が困難な場合に備えて、心筋梗塞症例と非心筋梗塞症例においてHDLコレステロール値とCEC、抗酸化指標となるマーカーとの関連を検討する症例対照研究を開始した。HDL機能低下を規定する創薬ターゲットとなる分子同定のヒントを得たいと考えている。
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