研究課題/領域番号 |
21K08153
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩堀 幸太 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (80566448)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | がん免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
がんおよびウイルス感染症においてはT細胞性免疫応答が重要な役割を担っている。そのため、がんおよびウイルス抗原特異的T細胞性免疫応答を増強する治療法の開発はこれらの疾患の克服に重要な課題である。 申請者らは、T細胞性免疫応答を定量的に測定する系を開発し、その測定系を用いて既存薬のスクリーニングを行った結果、低用量のテトラサイクリン系薬剤にT細胞性免疫応答増強効果があることを見出した。本研究では、低用量テトラサイクリン系薬剤によるT細胞性免疫応答増強の機序を解明し、新たながんおよび抗ウイルス免疫療法の治療標的を見出すことを目標としている。
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研究実績の概要 |
テトラサイクリン系薬剤によるT細胞性免疫応答増強効果について、前年度は二重特異性分子(Bispecific T cell engager、BiTE)を用いて健常人末梢血T細胞および肺癌組織T細胞についてin vitroでの検証を行った。今年度はテトラサイクリン系薬剤によるT細胞性免疫応答増強効果について主に動物実験での検証を行った。BALB/cマウスについてマウスがん細胞株EMT6を皮下移植した後にデメクロサイクリンの連日経口投与を行った結果、対照群と比較して腫瘍体積の増大が抑制された。このような腫瘍体積増大抑制効果はデメクロサイクリンの抗生剤としての用量より低用量においてもみとめられた。また、デメクロサイクリンの他、ミノサイクリン投与によっても腫瘍体積の増大抑制がみられた。さらに、マウスがん細胞株EMT6の他、マウスがん細胞株CT26の皮下移植モデルについてもデメクロサイクリン投与による腫瘍体積の増大抑制がみられた。 次に、動物実験におけるテトラサイクリン系化合物の抗腫瘍効果についてT細胞性免疫との関連を検証した。BALB/cマウスについてマウスがん細胞株CT26を皮下移植した後にデメクロサイクリンの連日経口投与を行い、マウス末梢血中のがん抗原MuLv gp70特異的CD8陽性T細胞をMHC Tetramerを用いて測定した結果、対照群と比較してがん抗原MuLv gp70特異的CD8陽性T細胞の増加がみとめられた。また、BALB/cマウスについてマウスがん細胞株EMT6を皮下移植した後に抗CD8抗体を投与してCD8阻害を行い、デメクロサイクリンの連日経口投与した結果、腫瘍体積増大抑制がみとめられなかった。これらの結果から、動物実験におけるテトラサイクリン系化合物の抗腫瘍効果はCD8陽性T細胞を介していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テトラサイクリン系化合物のT細胞性免疫応答増強効果について、in vitro実験での検証に加え、動物実験についてもテトラサイクリン系化合物のT細胞性免疫を介した抗腫瘍効果を確認し、作用機序解明に進展がみられたため。
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今後の研究の推進方策 |
テトラサイクリン系化合物のT細胞性免疫応答増強効果について、テトラサイクリン系化合物と相互作用する標的分子を同定する。さらに標的分子を基に作用機序について詳細を解明する。
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