研究課題/領域番号 |
21K08156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
原 敦子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70736420)
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研究分担者 |
石本 裕士 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (00457558)
城戸 貴志 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30389465)
坂本 憲穂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (30448493)
柳原 克紀 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40315239)
今泉 芳孝 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 客員研究員 (40404305)
迎 寛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80253821)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 肺リンパ腫 / 診断 / 分子生物学的手法 / 遺伝子転座 / クローナリティー / フローサイトメトリー / 気管支肺胞洗浄 / リンパ腫 / 気管支肺胞洗浄液 |
研究開始時の研究の概要 |
肺リンパ腫は、気管支鏡での診断率が低く、多くの症例で最終的に外科的生検が必要となるが、その治療においては内科的治療が中心となるため、侵襲性がより低い内科的診断手法の確立や普及が急務である。気管支肺胞洗浄液(BALF)中のMALT1遺伝転座検出や免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子転座を含む遺伝子転座およびIgH遺伝子再構成、T細胞性抗原受容体(TCR)遺伝子再構成、細胞表面マーカー解析の同時検出を行い、BALFを用いた肺リンパ腫の内科的診断手法の確立を行う。
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研究実績の概要 |
肺リンパ腫の診断は気管支鏡下肺生検(TBLB)などによる小組織での診断は困難である場合が多く、外科的肺生検等が必要になることが少なくなく、より侵襲の少ない検査法の確立が望まれる。我々は、気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いたMALT1遺伝子転座や、IgHの再構成の検出が肺リンパ腫の診断に有用であることを報告した。2019年よりさらなる感度や特異度の向上を目指して新たにBALFを用いたフローサイトメトリーによる表面マーカー解析、PCR法によるT細胞およびB細胞のクローナリティ解析(TCRとIgH)、FISH法による遺伝子転座検出を組み合わせた検討を行っている。 これまで肺T細胞性リンパ腫8(いずれも成人T細胞性リンパ腫・白血病:ATLL)、肺B細胞性リンパ腫11例(DLBCL4例、MALTリンパ腫4例、濾胞性リンパ2例、CLL1例)を含む62例の解析を行った。ATLLでは、CD25が中央値37.8%(B細胞性リンパ腫:11.7%,その他の疾患:12.6 %)、TSLC1は33.0%と有意に高かった。ATLLではTCRのクロナリティが100%陽性であった。FISHによる染色体数異常がATLLで87.5%で確認された(B細胞性リンパ腫:36.4%、その他の疾患:0.0%)。 B細胞リンパ腫では、CD19が4.2%(ATLL:1.3%、その他の疾患:0.9%)、CD20が14.3%と有意に高かった。IgHのクロナリティの感度と特異性はそれぞれ81.8%、85.4%であった。FISHによる遺伝子転座の検出率はB細胞リンパ腫で45.5%で、他の状態ではこれらの所見は観察されなかった。 以上の結果から、肺リンパ腫の診断にBALFの分子生物学的解析が非常に有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、症例集積が滞つた場合に多施設共同研究を行うことを計画していたが、長崎大学病院の症例のみで研究期間中に十分に集積が行える見込みである。現在、論文投稿直前の状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度中の英語論文化を目指している。症例は順調に集積されたが、エビデンスのさらなる強化のため、症例を追加する可能性がある。また、本研究で得られた知見から、さらに診断能向上のための検討を行いたい。
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