研究課題/領域番号 |
21K08165
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小池 建吾 順天堂大学, 医学部, 助教 (70858092)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スフィンゴ糖脂質 / 慢性閉塞性肺疾患 / 喫煙 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性閉塞性肺疾患は、タバコ煙などの有害物質の吸入によって肺が破壊される疾患である。世界死因の上位に位置する疾患であるが、まだその病態は不明な点が多い。我々はこれまでに、細胞膜の脂質二重層を構成するスフィンゴ糖脂質の一つであるGlucosylceramideがタバコ煙曝露下での肺血管内皮細胞の生存に関わることを明らかにした。本研究では、Glucosylceramideの複数の肺細胞での役割を解明し、慢性閉塞性肺疾患の病態にスフィンゴ糖脂質が関与するかを調査する。
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研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)は、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで発症する難治性疾患である。細胞膜の脂質二重層を構成するスフィンゴ脂質は、膜の構造維持に貢献し、増殖・分化・アポトーシスなど多彩な細胞機能に関与するため、様々な疾患の病態生理に関わることが明らかになりつつある。スフィンゴ糖脂質の一つであるGlucosylceramide(GlcCer)が、タバコ煙曝露下での肺血管内皮細胞の生存に必須である事を我々は報告したが、いまだにその他の肺細胞での働きは不明であり、GlcCerの下流のリン脂質のタバコ煙曝露下での役割も不明である。そこで、GlcCerの血管内皮細胞以外の肺細胞での役割やGlcCer以外のCOPD病態生理に関わるスフィンゴ糖脂質の発見を目的として実験計画を立案した。In vitroの実験系で、Glucosylceramide産生酵素(Glucosylceramide synthase: GCS)のヒト肺気道上皮細胞での役割について調査したところ、血管内皮細胞と同様に喫煙曝露抽出液曝露あるいはGCS阻害薬によって、肺気道上皮細胞のオートファジーの機能不全やアポトーシスが生じることを認めた。また、GlcCer以外のスフィンゴ糖脂質もCOPD患者の血清で有意に変化していたことから、In vivoの実験系として野生型マウスに喫煙曝露を行い、肺組織での酵素のmRNAをリアルタイムPCRで測定した。その結果、1ヵ月曝露の肺検体にてスフィンゴ糖脂質に関連する複数の酵素のmRNA減少傾向を認めたが、3カ月曝露の肺検体ではLactosylceramide産生酵素より下流の一部の酵素でmRNAの増加傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
必要検体の回収に多くの時間が割かれ、やや予定より解析が遅れている。またIn vitroで培養しているHuman Small Airway Epithelial Cells(Lonza社)の細胞培養液の国内在庫不足のため、In vitroの実験に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
In vitro実験では、ヒト肺気道上皮細胞でのタバコ煙曝露やGCS阻害によって生じるオートファジー機能不全の解明のために、オートファジーフラックスやライソソームの機能評価(酵素活性やpH測定)を行う。そして、GlcCer補充療法がタバコ煙曝露によるオートファジーの障害やアポトーシスを軽減できるかを確認する。またIn vivo実験では、さらに長期間の喫煙曝露(6ヶ月以上)を行ってCOPDに特徴的な肺破壊像(肺気腫)を呈したマウスにて、スフィンゴ糖脂質関連酵素のmRNAを測定する。顕著に変化した酵素については、siRNAを用いて活性を阻害し、肺気道上皮細胞の増殖・生存・オートファジーに及ぼす変化を評価する。
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