研究課題/領域番号 |
21K08166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長岡 鉄太郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70407295)
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研究分担者 |
田中 里佳 順天堂大学, 医学部, 教授 (70509827)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肺動脈性肺高血圧症 / 生体外増幅培養 / M2マクロファージ / 血管内皮前駆細胞 / 血管内皮細胞障害 / 生体外増幅培養法 / 血管内皮再生治療 / 血管内皮細胞再生治療 |
研究開始時の研究の概要 |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)の発症の根源である内皮細胞障害を改善させる治療法は存在しない。末梢血中の血管内皮前駆細胞(EPC)は病的組織の血管再生・修復に貢献しており、EPC自家移植による血管再生治療が注目されているが、PAHの病態におけるEPCの役割は明らかでない。これまでのEPC治療では、投与されるEPCの“質と量”が十分でなかった点が挙げられる。近年、採取したEPCを含む単球系細胞(MNC)を機能を維持しつつ増加させる生体外増幅培養法(QQc)が開発されたことから、MNC-QQcを用いたEPC補充療法はPAHの血管内皮細胞を再生させる有効な新規治療になり得る、と考えて本研究を計画した。
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研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺動脈内皮機能障害に伴う血管収縮やリモデリングによって病態が進展するが、発症の根源である内皮細胞障害を改善させる治療法は存在しない。末梢血中の血管内皮前駆細胞(EPC)は病的組織の血管再生・修復に貢献しており、EPC自家移植による虚血性病変に対する新規血管再生治療が注目されているが、PAHの病態におけるEPCの役割については未だ明らかでない。これまでのEPC治療の問題点として、投与されるEPCの“質と量”が十分でなかった点が挙げられる。近年、採取したEPCを含む単球系細胞(MNC)を機能を維持しつつ増加させる生体外増幅培養法(QQc)が開発され、より効果的な血管再生治療が可能となってきた。そこで、MNC-QQcを用いたEPC補充療法はPAHの血管内皮細胞を再生させる有効な新規治療になり得ると仮説をたて、本研究を計画した。 2021年度はMNC-QQcの投与がラットモデルのPAHに対して治療的効果を有することを示した。2022年度は、投与したMNC-QQcが肺組織中のどこに分布するかを確認するために、レシピエントであるGFP陽性ラットから採取したMNC-QQcをドナーラットに投与し、蛍光免疫染色を用いてGFP陽性細胞の分布を確認した。レシピエント由来のGFP陽性細胞は、ドナーPAHラットの血管外膜周囲に集積しており、血管リモデリングの改善に寄与していることが示唆された。さらに蛍光免疫染色を用いて、血管周囲に集積したGFP陽性細胞の細胞種の同定を試みたところ、予想していたCD34陽性EPCではなく、多くはCD206陽性マクロファージであることが判明した。今後は、生体外から投与したCD206陽性マクロファージが血管リモデリングを改善させるメカニズムについて、検証を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、MNC-QQcによるPAH改善はEPCによる血管内皮細胞の再生が主因と仮説していたが、これまでの結果からはEPCの関与は否定的で、M2マクロファージの作用が強く疑われている。研究自体の仮説を変更し、それに伴って実験計画の変更も必要となったため、予定よりも進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
M2マクロファージの抗炎症作用がPAHの進展抑制に有効であると仮説を立て、MNC-QQc投与の有無にによる炎症性サイトカインの発現の相違や、M2マクロファージが血管内皮細胞/平滑筋細胞の細胞機能に与える影響を検証する予定である。専属の大学院生が研究に従事しているが、今後研究の進行にさらに遅延が生じた場合は、研究に関わる大学院生を増員することも検討する。
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