研究課題/領域番号 |
21K08169
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
磯部 和順 東邦大学, 医学部, 准教授 (70385607)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | LINC00460 / オシメルチニブ / EMT / アポトーシス / long non-coding RNA / EGFR遺伝子変異陽性肺癌 / 循環腫瘍細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
タンパク質をコードしない長いRNA (long non-coding RNA: lncRNA)の中でも肺癌の腫瘍増大や上皮間葉転換(EMT)、アポトーシス耐性に関与するLINC00460に注目した。本研究はLINC00460とBIM, PD-L1, HER2, MET, VEGFRA, PUMAなどのバイオマーカーとの関連性および循環腫瘍細胞を用いたLINC00460の検出システム構築を目的にしており、得られる結果はLINC00460の発現の有無を層別化因子としたEGFR遺伝子変異陽性肺癌の個別化治療法の確立に大きく貢献するものである。
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研究実績の概要 |
今回我々は、LINC00460がEGFR変異陽性肺癌における癌の浸潤、転移、EMTのプロセス、EGFR-TKIの治療効果に関与していることを証明し、オシメルチニブを投与したEGFR遺伝子変異陽性肺癌におけるLINC00460発現の臨床的重要性を明らかにする目的で、オシメルチニブを投与したEGFR遺伝子変異陽性原発性肺癌の原発巣から抽出したRNA(腫瘍由来30例)からLINC00460のプライマーを用いて、RNA用検体をPCR法でLINC00460を同定し、半定量化し検討を行った。患者背景は平均年齢70.0歳(44-84歳)、男/女:19/11、PS 0/1/2以上:18/7/5、腺癌/扁平上皮癌:29/1、III期/IV期/術後再発:2/19/9、非喫煙者/喫煙者:21/9。原発巣のEGFR遺伝子変異は19del/L858R/L864Q:19/10/1で、臨床データと比較したところ、LINC00460の高発現群と低発現群に有意差を認め(16.6% vs 60.0%, p=0.044)、オシメルチニブの無増悪生存期間はLINC00460の高発現群が低発現群に比べ有意に短い傾向にあり(中央値 224 vs 669日, p=0.001)、また、全生存期間はLINC00460の高発現群が低発現群に比べ有意に短い傾向にあった(中央値 724 vs 未到達, p=0.011)。以上よりEGFR遺伝子変異陽性肺癌における原発巣のLINC00460の過剰発現はオシメルチニブの効果不良因子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の目標である臨床検体を用いたLINC00460発現とEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の効果の関連性の解明について、概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、全血10mlより血球成分のみを抽出し、循環腫瘍細胞(CTC)濃縮器(ClearCell FX system)をラベルフリーのCTCを採取し、またCTC数のカウントを行う。QIAamp DNA Micro KitにてDNAを、RNeasy Micro KitにてLINC00460を抽出し、抽出したcfRNAからLINC00460, BIM、PD-L1, HER2, MET, VEGFRA, PUMA, EGFR, BIM-EL,L,Sを Real-time PCR法を用いて発現を検証する相対定量を実施する。KCL22細胞株、HCC827細胞株をcalibratorとして相対定量値を算出し、臨床データとの対比を行っていく予定である。
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